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市民活動情報誌『Volo(ウォロ)』2003年6月号(通巻386号) 目次に戻る
ちょっと軽めの“市民活動とことば”考
編集委員 筒井のり子

「言葉は最初は無力です」と語ったのは、先日、日本ペンクラブ会長に就任した井上ひさし。「しかし、その集積という歴史自体が値打ちと思っています」と。

 SMAPの木村拓哉は、発売されるなりベストセラーで入手困難になっている著書『開放区』のなかで、「“言葉”って身の周りにいくらでもあるものだけど、ものすごい“力”があると思います」と語る。「ひとつで世界を変える事もできると思うし、好きな人を笑顔にする事もできる」。

 「いい『言葉』を沢山もつことは、銀行に沢山、預金をするよりもゆたかなことである」と言い切った寺山修司は、今年の五月で没後二十年を迎えた。彼は、また「死んだ人はみなことばになるのだ」とも言った。

 言葉は無力であり、同時に魔力がある。
 言葉は人をつなぎ、またそのつながりを絶つ。
 言葉は単なる記号でもあり、かつ伝説にもなる。
 言葉は先導し、一方で利用される。

 さて、市民活動は、とりわけ言葉にこだわる営みだ。目指すべき社会の有様を、言葉で説明できなければ共感を得ることは難しい。自分たちの活動のミッションを、わかりやすく他者に伝えることができなければ広がっていかない。そして、何より、一人ひとりが借り物ではなく自らの言葉をもって語りあってこそ、実体のあるコミュニティづくりが完成する。

 しかしその反面、市民活動において、意外と言葉は軽んじられているかもしれない。日本語に言い換える努力をしないまま、やたら横文字を使ってしまう、安直に縮める、よく似たパンフレットの文言、使い古されたチラシ用語…。

 市民活動における「名言集」や深い考察はまた別な機会に譲るとして、今回は、ぐっと軽めに、市民活動における「言葉」の今をのぞいてみよう。

 では、ご一緒に言葉のワンダーランドへ。

【第一の扉】 おもしろうて、やがて哀しき…
    〜とってもおかしなギョーカイ短縮用語〜

  A子さんは、最近、子どもの虐待防止を考えるNPOの会員になり、活動を始めたばかりの新米ボランティアです。これまで学習会に参加したことがありましたが、事務所に来るのは今日が初めて。職員とベテランらしきボランティアたちがおしゃべりしながら、テキパキと作業を行っています。

ボランティア(1) 「来週のストチルの 学習会の参加者は何人くらいに なりました?」
職員 「それが、ボラセンのシービー の勉強会と重なっちゃったんで、 今のところ少ないんですよ」 
ボランティア(2) 「そうそう、 知り合いのシャコタンも どっちに出るか悩んでいたわ」
職員 「コクリュウにも、もう 一度PRをお願いした方が いいね」
A子 「????」

Q1 会話のカタカナの部分を、正式名称に直してみましょう。

Q2 さて、このときのA子さんの気持ちは、次のどれでしょう? 

  1. なんだか、みんなかっこいい!私も早くギョーカイ用語をマスターしたいものだわ。
  2. なんだか、私一人、蚊帳の外という感じ。ちょっと居心地が悪いわ。 
  3. なんだか、自信をなくすわ。やっぱりもっと勉強してから始めるべきだったかしら。
  4. なんだか、意欲がわいてきたわ。経験を積むとこんな会話が自然にできるようになるのね。


 三か月後のある日、B男さんが初めて事務所にやってきました。A子さんは他のボランティアや職員と一緒にテキパキ作業をしています。

A子「さっき、ジソウの ワーカーから電話ありましたよ」
職員「なんて? キャップの ことかしら」
A子「ええ、シャキョウのボラコ から聞いたっておっしゃってました」
B男「????」

Q3 会話のカタカナの部分を、正式名称に直してみましょう。
Q4 このときのB男さんの気持ちを百字以内でまとめてみましょう。

 (※解答はすべて本特集のなかにある、かな?)

 短縮用語は本当に便利でおもしろい。それに、仲間同士にしかわからない短縮用語を使うのって、ちょっと気持ちいい。

 隠語は昔も今も、人間が集まるところには必ず生まれるものだ。その効用は、メンバー間の結束力を高めること。それに、その世界の「通」になったような心地よい気分になって、各人の参加意欲を増進させるかもしれない。

 でも仲間内しかわからない言葉って…。「通」になった気分は単なる錯覚かも…?

市民活動ギョーカイ短縮用語集
【あんすこ】 あんしんすこやか係。高齢者・障害者・母子の在宅福祉に関する相談窓口。神戸市のみのローカルな名称。これを知らずして神戸市でボランティア活動はできない(なーんて)。
【えこせん】 エコロジーセンター。最近、「エコ」という表示が増えてきたので、まだ想像がつきやすい方かも。
【える・えす・えー】 LSA。つい、LSD(幻覚剤)と聞き間違ってしまう私って…。シルバーハウジングやシニア住宅などで高齢者の日常生活支援に携わる生活援助員(ライフサポートアドバイザー)のこと。
【おおぼらきょう】 昔、「大ぼら教」という団体で、ほらを吹き合って気分転換するんです、と言ったら本当に信じた人がいた。もちろん大阪ボランティア協会のこと。
【かーぼら】 カー(car)ボランティア。車を使って送迎サービスなどをするボランティア活動。「◯◯ボラ」という短縮用法は数知れず。「夏ボラ」「ちょボラ」など。
【きゃっぷ】 CAP。<縁のない>帽子、ではない。Child Assault Prevention(子どもへの暴力防止)の略。ワークショップの中で子どもがさまざまな暴力から自分の身を守る方法を学んでいくプログラム。ただし、「おおぼらきょう」関係者の間では、市民プロデューサー(Civil Action Producer)を指すこともあるので、会話の流れを読んで的確に対応しなければならない。
【きゃぱびる】 キャパシティ・ビルディング(capacity building)の略。ビルの名前ではない。途上国支援などにおいて、各々の価値観にしたがって状況に即した行動がとれるように、個人や組織、ネットワークなどがすでに有する力を強化するためのアプローチ。決まった形の援助を押しつけることではない。
【きょうぼ】 共同募金。赤い羽根の募金は小学生のころから知っていて、なんとなく募金していたが、「民間社会福祉活動」を財政的に支える仕組みだったなんて、ちっとも知らなかった。最近はNPOへの配分もさかんに。
【きんせい】 勤労青少年ホームあるいは会館。勤労青少年という言葉自体、死語になりつつあるかもしれない。最近は、勤労青少年だけでなく中学生や児童、また一部高齢者にも開放しているところも。
【けあまね】 ケアマネージャ。実は、介護支援専門員という正式名称があるが、ほとんどの人は知らない(だろう)。日本語より英語の方が意味がわかりやすい例か。介護保険制度でいっぺんに有名になったが、ケアプラン作成の単価が安いので、独立して仕事をするには厳しい状況にある。
【げんば】 現場。海外協力NGOでは、もっぱら「海外」のことを指す。これを知っていないと話がかみ合わないことも。短縮用語じゃないけど。
【こくりゅう】 国際交流協会。なんで「こっこう」と言わないんだろうと思うのは私だけ?
【ざいかい】 財界にあらず。社会福祉分野では在宅介護支援センターのこと。「ざいし」とも言う。
【しーびー】 コミュニティ・ビジネス(CB)。ひらがなで書くと、とってもヘンですね。天野祐吉さんは「言葉は音だ」と書いてましたけど、意味を知らない人が最初に「しーびー」って聞いたら、どんな印象を持つのかなあ?
【じそう】 児童相談所。最近、自治体によっては「こども家庭相談センター」などの名前をつけているところもある。ますます増える児童虐待問題。「じそう」の役割もますます大きくなっているのに、職員(ワーカー)数の少なさに驚くばかり。ちなみに家庭児童相談室は「かじそう」と言う。
【すとちる】 ワープロで「すとちる」と入力すると「ストライキ散る」と出る。しかし、海外協力NGO界ではストリート・チルドレンのこと。
【しゃきょう】 社会福祉協議会。教育の分野では「社会教育」の略に用いられることも。少し年齢の高い人は「社共」(社会党と共産党)、中には「写経」と間違って、思わず聞き返す人もいる。 
【しゃこたん】 まさか、(企業の)社会貢献担当者のこととは…。みんな最初はびっくりする。命名者は大阪の某氏だとか。
【とくよう】 徳用(割安品)ではない。もちろん特別養護老人ホームのこと。たまに「とくろう」という人もいる。
【なるく】 ニッポン・アクティブライフ・クラブ(NALC)の略。時間預託制度を活用したボランティア活動を推進している。会員数は一万五千人を超え、全国に八十か所以上もの活動拠点を持つ全国規模のNPO法人。
【ぱぶこめ】 パブリック・コメント手続。「まるこめ(味噌)」を連想してしまうのは私だけ? 国、自治体が政策の立案等を行おうとするとき、事前に内容を公表して市民からの意見を募集し、その意見を考慮して最終的な意思決定を行うこと。
【はじぼら】 ちょっと恥ずかしいボランティア活動、というわけではありません。また常にグループの端の方にいるボランティアという意味でもなし。単に某センターが実施している「はじめてのボランティア説明会」のこと。
【ぴーあい】 パブリック・インボルブメント(PI)。直訳すれば、市民を巻き込むこと。政策形成の段階で人々の意見を吸い上げるために、人々に意思表明の場を提供する試み。環境教育などの「自分を見つめる」ワークショップでは、パーソナル・アイデンティティ(PI)の意味で用いられることもある。
【ぼら】 ボランティア。単独でつかわれるより「ボラ担(ボランティア担当)」や「ボラ連(ボランティア連絡協議会)」といった用法が多い。「ボラ」と呼ぶ側は短くて呼びやすいが、呼ばれる側は感じ悪い。とくにご丁寧に「さん」をつけて「ボラさん」なとど言われると「おちょくってるのか」と思うことも。
【ぼらこ】 ボランティアコーディネーター。これも某地域のみに特有の呼び方かもしれない。主に行政機関の職員が使うそうである。ちょっと軽んじられているような気分になるのは、うがった見方か?
【ぼらせん】 ボランティアセンター。東京ボランティア・市民活動センターでは、「ぼらせん」と書いたお煎餅を特注し販売している。ウソかホントか? 正解は各自でお調べ下さい。
【ぼらちょ】 国際ボランティア貯金。なるほど、「ゆうちょ(郵便貯金)」と同じ用法ですな。ところで、貯金と預金の違いって知ってます?
【まるMきょういん】 問題教員のこと。「マル暴」「マルサ」と同じ用法。なんだか物騒ですね、学校って。
【ゆー・えぬ・ぶい】 国連ボランティア(UNV:United Nations Volunteers)。1970年創設。日本では1987年から青年海外協力隊の経験者に限って参加していた。未経験者の参加は1992年のカンボジア派遣から。中田厚仁さんが殺害され、あらためてボランティアの本質について考えさせられた。
【ろうけん】 老犬ではありません。老人保健施設です。「とくよう」と「ろうけん」の違いを説明しろって? 自分で調べてください。
【わーかー】 一般には働く人、労働者の意だが、社会福祉関係機関では、専門職としてのソーシャルワーカー(ケースワーカー、グループワーカー、コミュニティワーカーを含む)を略したもの。残念ながら、現状では本当に専門性があるかどうかを識別する用語にはなり得ていない…。
【わーきゃん】 ワークキャンプ。関西ではアクセントは「きゃん」の上。「ミスド(ミスタードーナッツ)」と同じイントネーションで。はい、ご一緒に。



第2の扉 何でだろう〜何でだろう〜♪
          〜とよく考えたらヘンな言葉〜

 ある日のこと、K造さんは◯◯市役所に置いてあった冊子を見て、わが目を疑った。『市民運動ニュース』というタイトル。最近「市民活動」という言葉は行政でもよく使うようになったけれど、「市民運動」はめずらしい。里山保全のための開発反対運動や空港建設反対運動などの動きを紹介しているのだろう。そうしたニュース紙を市役所に置く時代になったんだなあと妙に感動してページをめくると、そこにあったのは「花いっぱい運動」「街のクリーン運動」。村民、町民とおなじ用法で、◯◯市の住民であるから「市民」という意味だったのか。そういえば、県民運動という言い方は聞いたことがあるようにも思う。

 そこで、K造さんは考えた。市民運動と市民活動ってどう違うのだろう?最近、都道府県単位に「市民活動センター」がどんどんできているけれど、なかに「県民活動センター」という名称のものもある。なんで市民活動じゃなくて県民活動なのだろう?

 市役所を出てしばらく歩くと、総合福祉センターがあった。その一階の看板を見て、K造さんはまた驚いた。「あれ、ついこの間までは、ボランティアセンターだったのに、いつ変わったんだろう?」 新しい看板には「ボランティア・市民活動センター」とある。ボランティア活動と市民活動って別のものだったの?  そこで、またK造さんは考えた。ボランティアセンターボランティア・市民活動センターはどう違うのだろう?  さらに歩いていくと、街角の掲示板にメンバー募集のポスターが貼ってあった。なんて言う名前の団体かな、と思ってポスターを穴があくほど見つめたが、「ボランティアサークル」と連絡先しか見つからない。「おいおい、ボランティアサークルっていうのが団体名かよ」。

 そこで、またまたK造さんは考えた。よく考えたら、ボランティア活動しませんか、っていう呼びかけ方もヘンだよな。ボランティア活動することが目的ということ?そういえば、社内で募金を集めたあとで、どこに寄付したらいいですかと相談があったとボランティアコーディネーターから聞いたことがある。募金するという行為(手段)が目的になってしまっているのかな?

 何でだろうと思い始めたら止まらなくなったK造さん。「なんで、ボランティアにわざわざ“さん”をつけてボランティアさんなんて言うんだろう?」「そういえば、最近NPOさんと呼ぶ行政の人もいるらしい」「そうそう、NPO団体という言い方もよく聞くなあ。NPOという言葉の中に団体の意味も入っているのに」「ちょボラという言い方もなんかヘンだなあ」…。

<よく考えたらヘンな言葉>集
●【市民運動】と【市民活動】
 市民運動という言葉の歴史は古い。それに比べて市民活動という用語が市民権を得始めたのは1990年代以降だろう。広辞苑にも大辞林にも「市民運動」は載っているが、「市民活動」は見当らない。市民運動とは「政治的・社会的問題の解決をめざして、特定の政治信条にとらわれず、市民が公民としての自覚に基づいて行う運動」(大辞林)とあるが、最後の言葉を「活動」に置き換えれば、そのまま市民活動の説明にも使える。なぜ、最近、市民運動から市民活動への用語の使い分けが起きているのだろう。かつての市民運動は抵抗・告発・反対型だった、それに対して市民活動は提案型だ、とはよく聞く説明であるが、そんな単純なことなのだろうか。市民運動の広がりから登場したのが市民活動だという積極的な見解もあるし、一方、行政が市民活動という言葉を好んで使うことから、市民活動という言葉には、運動性を中和(あるいは脱色)する働きがあるとする見方もある。さて、あなたはどう使い分けていますか?
●【県民活動センター】 
 おそらく初めてこの用語が使用されたのは、かながわ県民活動サポートセンター(1996年4月開設)だろう。センター条例には、「県民の自主的で営利を目的としない、社会に貢献する活動を支援するための施設として(略)設置する」(第2条)とある。名称の決定プロセスはわからないが、市民のボランタリーな活動は、県や市町村といった行政区域で捉えることができるのか、という声もある。別の自治体の職員から聞いた話だが、行政としては、あえて「県民」と使うことによって、自治会・町内会活動など既存の地域住民組織の活動も網羅したものにしたいという意図もあるという。
●【ボランティア・市民活動センター】
 1998年4月に東京都社協・東京ボランティアセンターが、東京ボランティア・市民活動センターに名称変更したのが最初だろう。その前年に出された、センターの今後のあり方に関する報告書によれば、「ボランティア活動推進を根幹としながら」も、「非営利に基づく多様な市民活動もさらに積極的に支援していく必要がある」とされており、その姿勢を明確に打ち出すために名称変更された。市民活動の中に当然ボランティア活動は含まれると思われるが、「ボランティア」という言葉を完全になくしてしまうのは抵抗があるかもしれない。その後、2001年に全国ボランティア活動振興センターが「社協ボランティア・市民活動センター強化・発展の指針」を出し、積極的に名称変更を薦めたことから、全国で徐々にこの名称が増えてきている。

第3の扉 あの頃のにおいが…
          〜言葉はコミュニケーション・ツールだ〜

 「子どもに見せたくない番組ベスト5」に必ず登場するのが「クレヨンしんちゃん」(日本PTA全国協議会アンケートなど)。一方で、その映画は文化庁メディア芸術祭賞を受賞(二〇〇二年十二月)するなど、最近、評価が変わってきている。きっかけは、二〇〇一年春に公開された劇場映画「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」だった。

 ストーリーは省くが、一九六〇〜七〇年代にかけてのフォークソングやギャグ、当時の車や町並みなどが、これでもかというようにノスタルジーをかき立て、映画を観にきた子どもの親たちがすっかり虜になってしまったのだ。映画としての完成度もかなり高いという。そのキーワードの一つが「二十世紀の匂い」だった。

 さて、いろいろな世代のなかでも、とりわけはっきりとした匂いを持っているのが、団塊の世代、あるいは全共闘世代だ。違う世代の人間にとっては、ときにその匂いが鼻につくこともあり、またうらやましく思うこともあるのである。

 市民活動は、年齢や職業、地域を超えて人々が集い、議論し、共に行動できることが醍醐味でもある。だからこそ、世代を超えた会話を楽しもう。いろいろな世代の活動や運動の仕方から学び合おう。

 そのための第一歩は、その世代の用語を知ること。今回は、おもに五十歳以上のメンバーと会話する時に役立つ言葉を集めてみた。せっかく多様な年代の人がいるのに、なんとなく、若者だけで集ってしまっているあなた。四十五歳以上のメンバーに、「青焼きって、一年ほどしたら、真っ白に消えてしまうんですってね」などと話しかけてごらん。きっと、終電がなくなるまで酒宴が続くことになるだろう。

編集委員 筒井のり子

 

<団塊世代のメンバーと会話する時、
知っていると 便利かもしれない言葉>集
●アジる(あじる)
英語のagitate(アジテート=扇動する)から、「過激な言動で周囲の人たちを一定の行動に駆り立てる」こと。アジ演説。
●一点突破、全面展開
運動が行き詰まれば行き詰まるほど、この路線を考えることになる。赤軍派の日航機ハイジャックなどはその典型。闘う相手が強大な(と思われる)ときによく言われた運動戦術。相手の弱点を冷静に分析して実行されるなら一定の成果が見込まれるが、大抵は「一点突破、全面包囲」に終わる。
●インターナショナル
パリ・コミューンの時にフランスで作られた革命歌。「立て!飢えたる者よ。今ぞ日は近し」で始まる。学生運動や反戦運動の中で愛唱された。
●内ゲバ(うちげば)
 政治党派や運動仲間どうしの暴力沙汰、ケンカ。内部ゲバルト(Gewalt【独語】=威力・暴力)。本来は、「権力にゲバルトをかける」のが正用。ゲバ棒。
●オルグ(オルガナイザーの略語)
 組織者もしくはその活動。組合や政党、運動などに参加するように人々を説得する役割、活動。「オルグる」と動詞化して使うことも。
●解放区(かいほうく)
大学構内や街頭でバリケード(机や椅子などを積み上げてつくった防御柵)を築き、内部を自主管理した自由空間。1968年パリ5月革命の際の「カルチェ・ラタン」が有名。
●カウンター・カルチャー(対抗文化)
高度管理社会における体制的な文化様式に対して、ヒッピーやコミューン、ロックなど、もう一つの文化様式。例⇒ウッドストック音楽フェスティバル。
●ガリ版(がりばん)
謄写版。蝋引きの原紙をヤスリ板にのせ、鉄筆で字や絵を書いて蝋を掻き落す。その部分にインクを滲ませて印刷。熟練を要し巧者は尊敬される。その後、ボールペン原紙が登場。
●シュプレヒコール(Sprechchor【独語】)
デモや抗議行動で一斉にスローガンなどを唱和すること。リーダーが「シュプレヒコーーール!安保粉砕、闘争勝利!」などと叫び、皆がそれに続く。
●全共闘
全学共闘会議の略。70年前後の全国的な大学紛争の中で、学生たちが従来の学生自治会とは別に組織した運動体。
●「戦闘的労働者、学生、市民諸君!」
アジ演説の出だしの常套句。「この場に結集された〜、全関西の戦闘的労働者、学生、市民諸君!」など。東京の学生は、「全都、全国の〜」。
●セクト主義
自分たちのセクト(分派、派閥)の主張や利益に固執して、全体をかえりみない態度や考え方。小異を捨てて大同につけない。
●ティーチ・イン(対話集会)
安保やベトナム戦争についての討論集会が各地で開かれた。ベ平連(ベトナムに平和を!市民連合)などでは、公園や街頭においてフォークソングで人を集め様々な討論をした。
●ノンポリ
non-politicalの短縮形。政治問題や学生運動に無関心な層、また態度。ノンセクト・ラジカル⇒党派には属さないがヘルメットも被りゲバ棒も持つ、という学生層も多かった。
●ハンパク
(反博⇒反戦のための万国博覧会) 69年に大阪城公園で行なわれたベ平連など市民団体主催のお祭り。大企業の出展が中心の70年大阪万博に一石を投じた。
●日和る(ひよる)
日和見主義(時々の情勢・力関係によって態度を決めること)を決め込む。デモに参加すべきところを彼女とデート。「お前、きのう日和ったな」。
●フランス・デモ(フランス式デモ)
参加者がみんな手を繋ぎあって、道幅いっぱいに広がって行なうデモ。和製語。警察機動隊のデモ規制に打ち勝ったことを意味する。
(編集委員 吐山継彦)

 


コラム
鹿住貴之さん
特定非営利活動法人JUON NETWORK
事務局長
元早稲田大学
学生ボランティア
センター代表
● 私が励まされた言葉「大学に合格しました」
 樹恩ネットワークでは、森林作業や地元の人たちとの交流を通じて森林・環境問題・農山村文化について学ぶ、森づくり体験プログラム「森林の楽校」を実施しています。このプログラムに参加した女子高生が、終了時に「林学を勉強したい」と宣言。その後音沙汰がなく気にかけていたところ、翌年四月の突然の連絡で言われた言葉。現在は農学部森林科学科の四回生で大活躍中。自分たちの活動の意味が伝わり、しかもそれにかかわっていこうと行動してくれたことを本当に嬉しく思いました。
 
● 私が落ち込まされた言葉「プレゼンが下手だね」
 人前で話すことが少なくない私。苦手意識もほとんどなく自分なりに工夫しているつもりだった理事会での議案提案の際、理事から言われた言葉。「抑揚がなく眠くなる」とのこと。動物占いでは、プレゼンテーションが得意とされる「ライオン」と診断されていただけに、さすがにショックを受けました。それ以降、日夜ポイントを絞った分かりやすいプレゼンを心がけています。
木村文子さん 全国視覚障害者インターネット接続支援連絡会 代表 ● 私が励まされもし、落ち込まされることもある言葉
   「言わんとわからん奴は、言ってもわからん」
   「がんばれへん時もある」
 最近、座右の銘(?)にしている言葉は、「言わんとわからん奴は、言ってもわからん」です。 人間関係に疲れると、呪文のように唱えています。私はもともとが野暮天な人間ですから、ストレートにしかものがいえません。もちろん、わかっていただこうと精一杯努力はしているつもりですが、何だか最近、ぜんぜん通じない事が多いですね。「なんでだろー♪」と考えてみますと行き付く先は年代差? あーぁ、日本語が通じない!
 この格言(?)は、ある上場企業の社長に教えてもらった言葉なんですが、ほんと、わかる人は言わなくてもわかりますよね。条理を尽くして説明してもわかってくれない相手の場合、時には励まされる言葉にもなるし、また時には非常に消耗する言葉ですね。
 もう一つ、「南久美子の世界」に描かれている「どらネコ」のセリフが好きですねぇ。一升瓶抱えた「どらネコ」が、「がんばれへん時もある」と居直っている絵なんて最高ですねェ。
尾崎 力さん
株式会社
関西マガジンセンター社長
● 私が励まされた言葉「三日坊主でもいい」
 これは今から十数年前、大阪ボランティア協会・早瀬事務局長の話を初めて聞いたときの言葉です。それまで、社会変革を「しなければならない」、だから市民活動をする者は、あらゆるものを犠牲にしてでも「頑張らねばならない」、でも「それってしんどいよなぁ」と考えていた私にとって、「ボランティアは三日坊主でもいいんですよ」という早瀬さんの言葉は、目から鱗がおちるように実に新鮮でした。そして私のような凡人を大いに励ましてくれました。
● 私が落ち込まされた言葉「メバチコ」
 若い頃、東京に住んでいた私は当然のごとく東京弁を使っていました。そう、「東京に迎合」していたのです。ある日、眼に小さなデキモノができ、アルバイト先で「僕、メバチコができちゃったぁ」と言ったのです。すると、ある人(美人の女性)が「あれ!? あなた関西? 横浜の子かと思ってたのに〜」と言ったのです。そう、東京では「モノモライ」と言わなければならなかったのです。このとき私は、立ち直れないほどの自己嫌悪に陥りました。ちなみに今は、東京にいけば必要以上に「〜でっせ!」を連発しています。
榛木恵子さん 関西NGO協議会事務局長 ■ 励まされた言葉 「専門家ではない目がもっと必要」
 阪神淡路大震災の直後、現地でJOCS〔(社)日本キリスト教海外医療協力会〕関西事務局のスタッフとしてボランティアコーディネーションに携わっていた時のこと。バングラディシュで十年以上の経験をもつ医療コーディネーターが「バングラの時よりも大変」として、話してくれた言葉。ややもすれば医療従事者に「単なる事務の人」と扱われがちなボランティアコーディネーターだが、この言葉で市民の社会参加支援という自分の専門性に対するアイデンティティが確認できた。
■ 落ち込まされた言葉
   「確かに連絡をくれたのは、 あなたがはじめてだけれど…」
 同じく震災後、仮設住宅の訪問活動をしていた時、訪問先の人が住宅に火をつけ自死した。私は担当のボランティアコーディネーターのことも気にかけてはいたが、事務的な対応に追われ、彼女への連絡が事件の翌日になってしまった。その時に言われた言葉。専門家といえども、仲間からの一声を彼女は求めていたのである。命を守ることをポリシーとして活動していたにもかかわらず、事務局として彼女の失意に思いが及ばなかったことに落ち込んだ。これを教訓に、どんなに忙しくても大切なことを見落とさないようにと、常に心にとめるようにしている。
松原明さん
市民活動を支える制度を作る会・シーズ事務局長
● 辛い時、自らを励ます言葉 「一切皆空」
 実は昔、仏教哲学なんかを勉強していたんですね。そこで知ったのが、この言葉。ここでいう「空」とは絶対的な真理や本質はないという意味なんです。昔、仏教では、ものごとは、絶対こうだという本質があるのではなく、世の中のさまざまな事柄は「関係」があって生じ、常に次のプロセスへ変化し続けていく。その有りようを固定観念にとらわれず、柔軟に把握できることが一番大切なことなんだと考えたのですね。  制度作りの運動って、紆余曲折の連続だけど、そこで落ち込みかけても、この言葉を思い出すと「いやいや、悪い事態の中に前進の萌芽があるし、その逆もまたしかり。絶対の成功もない代わりに完全な絶望状態もないんだ。常にプロセスの中にいて、それをどう違う視点で捉え直し、新しい関わり方を生み出せるかということが大切なんだ」と考え直すことができる。状況を相対的に把握することができるという点で、僕の座右の銘です。

 

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Volo(ウォロ)は大阪ボランティア協会が発行する 市民活動総合情報誌であり、オピニオン誌です。
『月刊ボランティア』創刊1966年。『Volo(ウォロ)』と誌名を変更して2003年新創刊。一貫して「市民が主体的に関わることの大切さ」を伝えてきました。分野・セクターを越えた社会的課題に市民がいかに関わるかを独自のアプローチでタイムリーに発信しています。