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市民活動情報誌『月刊ボランティア』2002年11月号(通巻380号) 目次に戻る
ふさいでいる日本の子ども。でも希望を託すことができるのは、子どもだけだ。
 
渡辺貞夫さん
No.188
●渡辺貞夫(わたなべ・さだお)さん・プロフィール●
1933年生まれ。18歳で上京後、数々のバンドへの参加、ボストン・バークリー音楽大学ヘの留学等を経て、日本を代表するトップミュージシャンとしてジャズの枠に留まらない独自のスタイルで国内はもちろん、世界を舞台に活躍。小・中学生を対象としたリズム・スクールの指導や学生バンドとの共演、クラシックコンサートホールでのバッハの演奏等、近年は更にその活動の幅を広げている。

◆初めてのディナーショー。それは、目的に共感したから。◆

 今日のチャリティーコンサートは、ザ・リッツ・カールトン大阪が企画されたもので、収益を「ドイツ国際平和村」に寄付します。ホテルからお話を聞いた時、偶然ちょっと前にテレビで「ドイツ国際平和村」を見ていたんです。それで、「ああ、こんなところがあるんだ」と感動していたので、ぜひ協力しようと思ったんです。

 実は、僕はディナーショーをしたことがありません。僕の音楽スタイルとは合わないと思うからですが、今回は目的に共感したので特別です(笑)。

 チャリティー目的のコンサートは今までにもたくさんしています。毎年しているのは、年末のツアーの最後に六本木ピットインで行うもの。一九八四年以来毎年続けていて、コンサートの収益に僕のお金も足して、赤十字なんかを通して寄付をするのが恒例です。きっかけは、始めた頃にウガンダの虐殺があり、アフリカ難民の様子をテレビで見たりして、なんだかひどい状況だな、少しでも僕にできることはないかな、と思ったことです。でも、若い頃は自分のことで精一杯で、そういったこと にそれほど関 心が高かったわけではありません。年を取るにしたがって、だんだん困っている人や地域のこととか、自分に何ができるかとか考えるようになったんでしょうね。

 阪神・淡路大震災は、とても身近な事件で、衝撃的な出来事でした。阪神地域には昔一緒に仕事をした仲間もいるし、友人も多い。ある友人から、被災地にある関西学院大学のホールでコンサートをやりたいという話を聞き、すぐに参加を決めました。震災後一ヵ月目のことです。一年後には神戸市の依頼で、レクイエムとして「アイム・ウィズ・ユー」を作り、メモリアルコンサートで演奏しました。この間も、同じ会場でのメモリアルコンサートに参加するなど、支援を続けています。

◆ふさいでいる日本の子ども。でも希望を託すことができるのは、子どもだけだ。◆

 日本でも、子どもたちに楽器演奏を体験してもらったり、大勢で合唱したりするイベントをしました。でも、アフリカやチベットの孤児院で僕が出会った子ども達の方が明るくて、文明の恩恵を受けている日本の子どもの方がふさいでいる気がします。心を閉ざしている子どもが結構いるんです。昔、僕らが子どもだった頃とも違う。やっぱり今の日本は子どもが育ちやすい環境じゃないんでしょうね。自然が失われていたり、いろいろなことに追われていたり。でも、そんな無表情な子どもと一緒に太鼓をたたいて時間を過ごすうちに、その子たちの顔つきが変わってきて、手の皮がむけるほど夢中でたたき始めるんです。その変化がまた僕にとっては嬉しくってね。

 僕は、今日まで自分の好きな音楽で生きてきました。でも、僕らの年齢になれば、未来への希望は何らかの形で子ども達に託すしかありません。僕は音楽が得意なので、音楽を通して彼ら彼女らにまっすぐに育ってもらう手助けをしていきたい。子ども達の汚れのない目を、いつまでも輝かせてもらうためにね。  



聞き手・事務局 飯田真友美

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Volo(ウォロ)は大阪ボランティア協会が発行する 市民活動総合情報誌であり、オピニオン誌です。
『月刊ボランティア』創刊1966年。『Volo(ウォロ)』と誌名を変更して2003年新創刊。一貫して「市民が主体的に関わることの大切さ」を伝えてきました。分野・セクターを越えた社会的課題に市民がいかに関わるかを独自のアプローチでタイムリーに発信しています。