No.365 / 2001年5月号 [前のページに戻る]
この人に ...No.172 No.365この人に写真
●とよなか男女共同参画推進センター すてっぷ館長 三井マリ子● 
◆◆意志決定の場にもっと女性を◆◆


●『月刊ボランティア』の表紙は女性が3割以下?!

 昔からボランティア活動の担い手の多くは女性でした。今でも女性の活動の層はとても厚いです。だから私はむしろ、今こそより多くの男性がボランティア活動をすべき時代だと思っています。
 性別や肩書きではなく一人の人間として行動しようというのがボランティア活動であり 市民活動のはずです。でも、これほどの盛り上がりを見せる今でさえ、その活動に、性による格差が見られます。
 例えばこの『月刊ボランティア』ですが、表紙を飾る人物は九九年三月号から現在まで二十二名です。そのうち女性は六名ですよね。約二七%でしょ。どういう基準で選んでいらっしゃるのかわかりませんが、このような雑誌でも目立つところは男性の登場回数が結果として多い。ほんの一例ですが、こんなことからも、男性が女性より多く発言の機会を与えられている実例を見ることができます。

●女性も決定の場にいないと、危険!

 日本では一般的に、育児や介護は女性がその主な担い手となってきました。現在ではこうした機能は、公的分野に徐々にシフトし、社会的システムとなってきています。ところが、公的施策を起案する審議会や、議決の場である議会に女性がいない。すると、これまでの女性の知恵や経験が活かされないことになります。
 決定の場に女性がいないということは、女性の関心や思考にふたをしてしまうことになるのです。場合によっては、女性にとって不利なことを決め、推進してしまうことも起こり得るんです。
 保育や高齢社会の問題だけではないですね。食品の安全問題や環境問題の深刻さを考えても、決定の場に女性がいないと、ジェンダーバランスに問題があるという以上に、危険であるとさえ言えます。

●最大級の人権侵害

 もうひとつ強調したい点は、女性の利益の尊重です。例えば、子育て中も働き続けてきた中堅女性の中に、管理職試験を受けたがらない女性が多いと聞きます。なぜでしょう。その年代の女性は、親の介護を抱え、これ以上仕事を増やしたくないからです。日本には、介護のために年間何万人も泣く泣く仕事をやめざるをえない女性がいる。これは明らかに不当ですよね。
 21世紀は人権の世紀です。地球上の人口の約半分は女性ですから、これは最大級の人権侵害といえます。あまりにもはびこり過ぎ、あらゆるところに存在するために、見ようとしないと見えない。格差があってあたりまえ、女性がいなくてあたりまえ。この状態を少しでも改善するために、私は男女平等の社会づくりに力を注いでいます。これは21世紀の最優先課題です。

●「男性よ、もっとボランティアに 女性よ、もっと決める場に」

 これだけ多くの女性がボランティア活動に取り組んでいるにもかかわらず、ボランティア団体でも代表的な座には女性がきわめて少ない。なぜか。それは多くの女性が、いわゆる「ボランティア活動」に取り組んでいると認識してないからです。
 女性たちは、社会のすみずみでアンペイド・ワーク(無償活動)をしてきました。ある意味で「ボランティア活動の専従」だったといえます。実は義務的労働に近いのですが。ところが、こうしてボランティアに社会の光があたると、それッとばかり、男性が出てきます。男性のボランティア活動を支えるために、女性がまた家事をしなくてはいけないという笑えない構図が生まれてきます。一方、決める場を平気で男任せにしてきたり、経済的自立をしなくていいと考える女性も多く、これはこれで大問題です。
 これからは、男性がもっとボランティア精神を家で発揮し,台所に立ちおむつを換えてほしいです。女性は、「元祖ボランティア」として、ボランティア活動の「決める場」にもっと進出し、ゆくゆくは政治の場に出てほしいですね。

(編集委員 岡村こず恵)

●三井マリ子さんプロフィール●

女性政策研究家。米コロンビア大学修士終了(比較教育)。国際文化会館企画部、都立高校教員、都議会議員2期を経て、現在、とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ館長。都議時代は「日本初の女性副知事登用」「女性のみの制服撤廃」「公費ミスコン廃止」「セクシャル・ハラスメント防止対策」に尽力。主な著書は『男を消せ!ノルウェーを変えた女のクーデター』『ママは大臣 パパ育児 ヨーロッパをゆさぶる男女平等の政治』など多数。


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社会福祉法人大阪ボランティア協会