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【 特集 】 グループ運営の悩みーーそれはボランティア活動を進める上で、避けては通れない課題である。そして、きわめて古く同時にきわめて新しい課題でもある。 去る3月下旬、東京都北区ボランティアセンターにおいて、この課題に向き合う講座が開催された。題して「ボランティアグループの健康診断しませんか?」。今月号の特集は、この題名をそのままお借りして、またその講座で使われたワークシートも紹介していただきながら、しばし、グループ運営について考えてみることにしよう。 |
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こんなはずでは…その1 大学一年の滝沢くん(仮名)は、最近学校が退屈で仕方がない。その日も講義をさぼってベンチでぼんやりしていたら、近くから子どもたちの声が聞こえてきた。何かに吸い寄せられるようにその児童館へ行ってみた滝沢くんは、そこで障害のある子どもと遊ぶボランティア募集のポスターを発見。職員に勧められるままに週1回活動を始めることになった。のんびり自由にやれる雰囲気が気に入った。
1ヶ月ほどたった頃、別の曜日のボランティアからグループに入らないかと誘われた。情報も入るし、いろいろ相談もできると勧められ、誘われるまま入会。
ところが、それから滝沢くんの生活は一変した。やれ、学習会だの、チラシ配りだのと頻繁に会合がある。それを休むと「他の者はこんなに頑張っているのに…」と批判される。また、滝沢くんはただ楽しくおもしろく子どもたちと遊びたいだけなのに、「もっと真剣に障害のある子どものことを考えるべきだ」と意見される。グループに入ったら、仲間ができてもっと楽に活動できるようになると思っていたのに、これではまったく逆だ。「こんなはずでは…」と思いつつ児童館へ向かう足取りは今日も重い。
こんなはずでは…その2 歌田さん(仮名、57歳)は、コーラスに社交ダンスにと毎日忙しく活躍している主婦。60歳まであと数年となり、思うところあって公民館で開催された「福祉講座」を受講した。週1回ずつ、2ヶ月にわたる講座で、すっかり“福祉のまちづくり”の必要性を痛感し、気の合う仲間もできた。 講座の最終日、これでもうお別れというとき、思わず「ボランティアサークルを作りませんか!」と声を上げていた。
作りましょう、作りましょうと盛り上がって、グループの名前や活動先も決まり、さあ役割分担を決めようという段になって、なぜかみんな黙り込んでしまった。だれかが「みんなでやればいいじゃない。そんなにきっちり決めなくても、その都度みんなでやればいいわよ」と発言。結局うやむやになってしまった。
イヤな予感は的中した。みんな来たいときだけ来る、やりたいことだけに参加するで、活動先との交渉や連絡、準備、記録などは結局歌田さんが一人でやる羽目になってしまった。今、歌田さんは「みんなでやる」ということは「誰もやらない」と同義語だと痛感している。こんなはずではなかった…。
○「ボランティア」と「グループ」は矛盾?
冒頭に二つの例を挙げたが、これらは「ボランティア」が「グループをつくる」ことは元来矛盾を抱えているということを示している。すなわち、その一は、「私」の関心やこだわりで自由に進められるはずの活動が、グループ化することにより、「他者」の関心やこだわりやペースとの間で折り合いをつけねばならなくなった例。その二は、個々の「好きな参加の仕方」と「グループの維持」との間の葛藤を示している。
実際、ボランティアグループで、日頃さまざまな活動をしている人にとって、活動に関する悩みは尽きることがないにちがいない。
○「悩み」といかにつきあうか
活動内容に関すること、活動資金に関すること、メンバーの数に関することなど、ボランティアグループの数だけ悩みは存在することだろう。むしろ、何の問題もないグループなどないといっていいのではないだろうか。さまざまな活動上の課題にぶつかり、それをグループの力で乗り越えていこうという姿勢には、社会のさまざまな課題に自ら取り組んで解決にむかっていこうとするボランティア活動の本質的な姿が投影されているともいえる。
要は、その悩みに「どう、つきあっているか」だ。うまくつきあうためには、まず悩みについて良く理解しなければならない。理解する前に、まず、悩み=課題に気づかなくては…。そう、そのためには、定期的にグループの状態を知る「健康診断」が必要となる。 自分では健康だと思っていても、診断の結果、注意信号がなっていることに気づくことはよくあることだ。さて、あなたのグループはどうだろうか。
○健康診断のすすめ方
今回のグループ健康診断は、「問診票」「診断チェックシート」「二十項目の運営習慣チェック」の三種類のシートで構成されている。課題発見から現状認識までのプロセスを、グループの当事者自らの力で導き出せるようにと工夫したものだ。すなわち、次のような流れになる。 一 「問診票」を使って運営課題を探る。
- 「診断チェックシート」を使って課題を整理してみる。
- 「二十項目の運営習慣チェック」でグループをうまく運営していくための手がかりを探す。
これらの健康診断のシートはいろいろな使い方がある。もやもやを整理するためにあなたが一人で取り組んでもいいし、グループのメンバー全員に配付して各々の課題意識を探っていく方法や、異なるグループの人が集まって相互学習するなどである。
○「問診票」を使って課題の発見をしてみよう
「問診票」にはグループ活動をしていく上で、課題になりそうな三十の項目が提示してある。なるべく多くの手がかりをここから得ることが重要なので、少しでも気になる症状がある場合にはなるべく多くの項目に○をしてほしい。
さて、あなたはいくつ○がついただろうか。一つ一つチェックしていきながら、改めて気づいたことはどのようなことだろうか。また、これらは主観的な判断を求める項目が多いので、同じグループでも人によって回答内容が随分違うかもしれない。
これは重要なことで、課題が「ある」か「ない」というだけでなく、こういう課題を気にかけている人がどれくらいいるのか、ということを知ることができる。例えば六番目の項目「活動がマンネリ化してると感じる時がある」という問いにメンバー十五人中、七人が○をつけたとすれば、活動がマンネリ化しているかどうかという厳密な評価ではなく、メンバーの約半分が「マンネリ化しているのではないか」と気にかけているという事実がわかるのである。人によって評価の分かれるこのような項目について、どれくらいの人が懸念しているのかを知ることは、今後のグループ運営を考える上でとても重要な情報になる。
ボランティアグループの健康状態をチェックしましょう
少しでも気になる項目がありましたら該当する番号に○をしてください。特に気になる症状には◎をつけてください(3つまで)
- 新しいメンバーがはいってこない
- 入ってくるが、定着しにくい
- メンバーがだんだん少なくなっている
- 活動の技術や知識が深まりにくい
- 何のための活動かわからなくなる時がある
- 活動がマンネリ化していると感じる時がある
- 自分たちの活動がなかなか認められない
- 活動に来るメンバーが少ない
- 活動の対象者が集まりにくい
- どんな活動をしたら良いか迷っている
- グループを解散したいと思うこともある
- 今の活動を続けるだけで精一杯だ
- いつ自然消滅してもおかしくない状態だ
- 活動の資金に困っている
- 活動の場所に困っている
- 事故が起こりそうで不安な時がある
- グループ内で連絡がうまくいかない時がある
- 活動に対する考え方がバラバラで困る
- メンバーの中で派閥ができて困っている
- メンバー同士あまり会話がない
- 自分の意見を言いにくい
- 全体のことを話すミーティングがない
- ミーティングの参加者が少ない
- 活動に関する情報が集まりにくい
- 活動中困った時、相談する相手がいない
- 役割分担がうまくいっていないと感じる
- ここ何年かリーダーの交代をしていない
- 実はリーダーを決めていない
- リーダーの交代なんてできないだろう
- その他
診断チェックシート
問診票に○をした番号を以下の項目に分類し、その数を( )に記入してください。
第1類 5、6、8、10、18 ( ) 第2類 1、2、3、4、26 ( ) 第3類 17、19、20、21、22、25 ( ) 第4類 26、27、28、29 ( ) 第5類 1、7、9、14、15、24 ( ) 第6類 14、15、16、23 ( ) 無 類 11、12、13 ( ) ○「診断チェックシート」を使って課題の整理をしよう
「問診票」に記入をしたあとは、○をつけた項目を「診断チェックシート」に転記する。一つの項目が複数のカテゴリーに含まれる場合もある。問診票の項目は事前に左記の六種類のカテゴリーに分類される。
第1類 [ミッション(目的・使命)]に関する症状 第2類 [人材開発・トレーニング]に関する症状 第3類 [コミュニケーション]に関する症状 第4類 [リーダーシップ]に関する症状 第5類 [活動の社会化]に関する症状 第6類 [活動基盤の整備]に関する症状 無 類 [治療の余地なし…] さらに、該当した項目数に応じてレーダーチャートに記入してグラフを完成させてみましょう。
この「診断チェックシート」に「問診票」の該当項目をチェックしチャート化することにより、どの分野に症状が集中しているのかという傾向を把握することができる。あなたのグループはどのカテゴリーの症状が多かっただろう。
この結果をもとに、現在のグループの課題が集中している分野についてのディスカッションをすると、より課題が明確になる。いくつかの例を紹介しよう。
このように「うまくいっている」と自信を深めるポイントと、グループとして存続していくために取り組まなければいけないポイントを、メンバー自身がしっかり自覚するようになることが、今後の運営にとって大切なのだ。
ここでディスカッションを進める場合に、気をつけなければいけないポイントが二つある。一つは、ここでの議論は「運営上どこに課題があるか」を知ることが目的であって「誰が悪いから…」といった犯人探しをすることが目的ではないということだ。
もう一つは、グラフに出た症状に参加者が過剰に反応しないよう気を配ることである。それぞれの人がチェックした項目は厳密に選ばれたものばかりではなく、「少し気になる」という程度のものも多分に含まれている。したがって、該当項目の○の数と、事の重大さは必ずしも比例しない。例えば「コミュニケーション」に多くの人が課題があるとグラフが示していても、「メンバー同士険悪な状態だ」と思って○をしたのか、「うまくいっているが以前に比べるとちょっともの足りない」と感じて○をしたのかは、この診断ではわからない。そのために、グラフをもとにディスカッションをして、それぞれの課題の深刻さがどの程度なのかをメンバー同士が確認することが重要になる。
(インターネットでは残念ながら、ここまでです。あとは本紙でどうぞ!)
共同執筆 小原宗一、筒井のり子
社会福祉法人大阪ボランティア協会