
IAVE世界会議とは…。 世界各国のボランティアリーダーや推進機関が参加し、国連・経済社会理事会の民間諮問機関であるボランティア活動推進国際競技会(IAVE)が2年に1回開催している世界会議。
カナダと言えば、ロッキーとメイプルリーフと「赤毛のアン」の国。車で走っても道は広くて、どこまでもまっすぐ…。八月二十三日から二十七日の五日間、第十五回IAVE世界会議はそんなカナダのロッキーの北・エドモントンで開催された。カナダという国の大らかな気質に誘われてか、今会議の参加者数は、過去最高の二千七百人!パーティ用の食事も二千五百人分しか用意してなかったスタッフが大慌てで二百人分の緊急調達をしたという裏話があるほどの盛況ぶりだった。会場は、アルバータ大学のキャンパス内。IAVEのワークショップは、キャンパス自体が一つの町のような大学の中の講堂と教育学科の校舎で行われた。今号では、その計二百四十に及ぶワークショップの一部の様子やカナダにおけるボランティア事情についてざっくばらんに報告しよう。
朝からキャンパスを走る、走る…。
朝八時。IAVEの一日はこんな朝早くから始まる。ダウンタウンからLRT(地下鉄)を使ってキャンパスに向かい、学食で典型的アメリカンブレックファーストをいただく。結構、これがおいしいっ!それと朝食のおともが毎朝各テープルに配られているIAVEのニュースレター("Inside the insider"下写真)。そのニュースレターを読むかぎりでは、約千八百人のカナダ人についで日本人が九十九人参加とある。お隣のアメリカでさえ五十人強というのに、日本人の多さにはビックリ。
ワークショップは八つシリーズに分かれていて、基調講演などの大きなイベントは学内の講堂で、百名以内のワークショップは教育学科の校舎で行われた。何せスケジュールは、毎朝八時半から始まり、一日に二つから三つのシリーズのワークショップがあるのだ。約一時間の休憩時間をはさんでまた次のワークショップへ移動する。
しかし、そんな忙しいなかでも、校舎の各フロアに設定されているコーヒーやケーキのブレイクタイムコーナーは、休憩時間になると歓談やボランティアの情報交換の場として賑わっていた。ボランティア活動関係者の情報交換やネットワーキングに対するどん欲な姿勢はどの国においてもさほど違いはないらしい。そんなブレイクをはさみながら、次のワークショップ会場に移動。スケジュール表とキャンパスマップを片手にあちこち移動していると、キャンパス内を闊歩する学生に戻った気分になるから不思議だ。
ワークショップも多様多彩!
ワークショップが二百四十もあれば、内容も多種多様。「資金集めの方法」「ボランティア・マネジメント」や「有給職員とボランティアの協働」といったワークショップは日本のボランティア関連会議でも目にする機会は多い。が、ここでは現場に密接した実用的なものも多くて、大変興味深かった。
そんな中から、筆者の参加したワークショップの一つをご紹介。
「男性ボランティアを獲得する方法」。このテーマは、日本のボランティアグループのリーダーたちにとってもかなり共感を呼ぶテーマではないだろうか。どうもカナダも同様らしい。参加者は九十五%がカナダのボランティア関係者ばかりで、もちろん女性がほとんど。男性ボランティア不足は、万国共通の悩みなのかもしれない。「女性の場合、『いつか活動できたらいい』と、結構気長に待つことができるし、継続的な関わりができる。一方、男性はといえば、『今、したい』瞬発的な関わり方が多いのです」とスピーカーは切り出す。そんな男性ボランティアをどう巻き込んでいくかというテーマを軸に参加者の質問を交えながらディスカッションは続く。
さらに、男性ボランティアだけに限らず、ボランティアを獲得していく重要なキーとして「常にパブリックな(市民の目の触れる)ところに自分の組織を出していくか」を強調。マクドナルドのマーケティング戦略を例に取り、組織のシンボルや様子が常に人の目に触れることによる効果や継続的PRの効率性など紹介され、ボランティアの獲得はマーケティングであることを妙に得心してしまう。マーケティングとは全く正反対の位置にある印象のボランティアだが、「人材獲得」という視点では応用できる部分が多そうだ。
「頼む」ことと「知ってもらう」こと
カナダのボランティア志向また、このワークショップでは、一九九七年度"Statistics Canada"(カナダ政府の統計調査)による「カナダにおけるボランティア事情」の分析も紹介された。
カナダでは、八七年には、十五歳以上のカナディアン人口の二六・八%がボランティアをしているということだったが、九七年にはそれが三一・四%まで上昇。しかし一方で、一人あたりの年間ボランティア活動時間数は、百九十一時間から百四十九時間に減少。これは単発的なボランティアにかかわる人が増えたことも一因のようだ。
【表1】は、「どのようなきっかけでボランティアをするようになったか」を示すグラフである。全体の約六十%が「団体組織の人」もしくは「知り合い」から頼まれたからボランティアを始めている。これは「自らが自主的にアプローチ」した人の約二倍以上の数字だ。また、ボランティアをしない理由を示すグラフ
【表2】を見ると単に「時間がない」が一番の理由となっている。
この結果を受けて、"Statistics Canada"の「ボランティアの獲得のために―調査結果が示すもの」の解説では三つの基本でくくっている。ボランティアを獲得するには、@"Ask, and ask again"(頼んで、また頼む)ことなのだそうだ。実にシンプル。「自主性」ばかりが全面に出がちなボランティア活動論だが、「そこにニーズがある」ことを知らない、気づかないだけで、ボランティアに関わるチャンスを単純に失っている人も多いかもしれないのだ。
そして、「時間がないからボランティアができない」ことに対し、受入側はA"Be flexible"(柔軟性をもって)とB"Acknowledge that time is a precious commodity"(時間はとっても貴重だという認識)を受け入れ側がいかに仕掛けていくことかを示している。
これらのデータをもとに、ワークショップでは、「時間のない人」や「確固とした動機のないままやってきた人」たちにもすぐ提供できる組織紹介ツールの用意の重要性を強調。つまり「やってきた」時にいかに「捕まえる」かがポイントになること、そこでの一対一の対話がどれだけ重要かということだ。
ボランティアがボランティアを考えるワークショップは事例の紹介にとどまらず、「私の所はこうなのよ」「こういう時はあなたはどうしてる?」といった気軽でそして聞いていて楽しい議論が多かった。各自の状況(課題)を他と共有することによって、「自分だけが煮詰まっているわけじゃない」と前向きなエネルギーに転換しようとしているように見えた。
もっと紹介したいワークショップはいっぱいある。題名だけ聞くとゾクッとするワークショップ「ボランティアを懲戒処分にする時」や、一度に何百人のイベントボランティアを動かす「短期ボランティアを管理する特別な技術」。またいつか機会があればぜひ紹介したい。
とりあえず、ワークショップを終了。いろんなワークショップでカナダの事例を目の当たりにしつつ、「日本はボランティタリズム後進国だと思いがちだけれど、土壌や雰囲気に違いがあるとはいえ、いろいろ抱える課題に対する取り組む心意気に大きな差あるとは思えない。日本もがんばっているじゃない!」そんなことを思いながら、資料のいっぱい詰まったデイパックをヨイショと担いで次の会場にむかった。
編集委員 水谷 綾
※次号では、世界会議における北米ならではのパーティや講演、現地施設視察の報告をお届けする予定。

社会福祉法人大阪ボランティア協会