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2006年2月
公正労働基準法をはじめ行く手を阻むもの
スーザン・J・エリス

法務、財務、IT関係のスタッフの任務は、われわれの必要や要望に耳を傾け、それを実行に移す最善の方法を見出すべく支援することである。

残念ながら、現実のボランティア・マネジメントの世界では、こういったエクスパートたちはむしろ非常に多くの場合私たちにノーを突きつけてくるのです。私たちが目的を達成できるよう支援するというより、それはできない、あれはできないと私たちに言ってくるのです。そのうえ、自分たちができないと言えばそれに私たちが疑問をさしはさんだり、ましてや反論したりするなど考えられないことなのです。

私たちはボランティア貢献を推し進める者として、こちらにだって専門知識があるのだということを肝に銘じ、こうした専門分野の助言者に対等なチームの一員として接する必要があります。ボランティア・マネジメントに関してなら、私たちの依頼や提案が退けられていい訳がありません。ノーという回答以上のものを強く求めたとしてこちらに理があることが十分に考えられるからです。

今月のホットトピックスのきっかけになったのは、ワークショップの参加者が個々別々の団体から来ているにもかかわらず似たようなメールや質問を寄せていることで、いずれもボランティアとともにあるいはボランティアのために何かをしようとしてそれはだめだと言われているのだがその通りにすべきかどうかを尋ねているのです。例を挙げてみます。


管理部門にボランティアを採用することが許されず困っています。同じ地位に誰かを雇い入れようと思えばできるのだから、労働産業部が許可しないというのです。

いかなる場合でも被雇用者は自らの労働時間を無償で提供してはならないといわれていますが・・・

組織に収入をもたらしている売店でボランティアに働いてもらうのは許されないと言われているのですが、本当でしょうか。

いま空いているボランティアのポストをホームページ上で知らせるのはだめだとIT部門から言われると思います。

こうした状況に腹が立つのは基本的な問題がおざなりになっているからです。その組織が望んでいるのは、ボランティアにできるだけ意味のある形で関わってもらってクライアントにサービスを提供しミッションを達成することでしょうか。それなら、あるボランティア活動を許可しないことでどんな影響が出るでしょうか。ボランティアプログラムのなかでボランティアとともにあるいはボランティアのために何かをしようとしてそれはだめだと言われるたびに、こうした疑問を投げかけるのも私たちの仕事でなければなりません。以下に述べるようなアドバイスや情報で理論武装し、「だめだ」という言葉に最終決定として唯々諾々と従うことのないようにしましょう。

公正労働基準法

ボランティアができることできないことについての見解のほとんどは「生兵法は怪我のもと」を地で行くものです。いま例に引いた法務や人事のスタッフの法解釈には誤りがあります。つまり自分たちの「考え」を法とみなしているだけで、少しも調べてはいないのです。ここで私はアメリカ法について論じているわけですが、ボランティアプログラムマネジャーが組織内で先頭に立つ必要があるという原則はどの国についても当てはまるものです。

管理、運営ならびに事務的な仕事をこなすのにボランティアを採用している非営利団体や政府機関には枚挙にいとまがありません。高い専門性が求められる仕事についても同じです。誰かが生業として営んでいる活動はもれなく他のところで誰かがボランティアとして行っていると言ってもいいでしょう。ですから、決まったルールなどないのです。場合によって様々なのですから、法務、人事のスタッフはボランティア採用の提案があれば個々の事例に即して判断すべきなのです。

他にも参考にしたければ、こういった例があります。

  • 医師が休暇を取り、開発途上国での医療に貢献しています。多くの場合は給料をもらって働いている医師と肩を並べての活動です。
  • リサイクル・ショップやギフト・ショップの多くがまさに収益を上げることを目的としつつ、スタッフとしてボランティアを採用しています。資金調達のための各種催しについては言うに及びません。
  • 裕福な政治家が報酬を受け取ることを敢えて拒み「ボランティア」として執務しているという事実があります(今現在ではカリフォルニア州知事シュワルツネッガーやニューヨーク市長ブルームバーグがいますし、過去にはケネディー大統領やロックフェラー副大統領がそうでした)。
  • コミュニティでは、昼間任務に就いた正規の消防隊が、夜、ボランティア消防士たちが活動することで一息入れることができます。
  • 学生たちがインターンシップという形で大小様々な営利組織で働いています。

公正労働基準法(FLSA http://www.dol.gov/esa/whd/flsa/)は、雇用主が被雇用者にサービス残業させるのを止めさせるためのものです。実際、そのガイドラインは「職場外」でのボランティアには触れていません。そうではなくて、被雇用者が仮に自らの意思によるものであっても雇用されている当の場所でボランティアとしてできることを制限しているのです。ボランティア活動として許されるのはその被雇用者が日ごろ行っている仕事とは別のものでなければなりませんし、決して当然視されたり強制されたりしてはなりません。有給職員とボランティアとでは職務内容説明書や肩書きを別にしておくというのが絶対お勧めです。確かにボランティアでも有給職員とある程度同じ任務をこなしたり雇用主の仕事を助けることはできますが、まったく同じ役割を担うことはできません。

しかしながら、単に「同じ地位に誰かを雇い入れようと思えばできるから」という理由で労働産業部がボランティアの活動を一般的に禁止しているということはありません。労働部は現に次のような見解を出しています(http://www.dol.gov/dol/allcfr/Title_29/Part_553/29CFR553.104.htm)。
「公的機関において私人がボランティアとして遂行できるサービスの種類について、労働産業部はいかなる制限・制約をも課するものではない。」

はっきりしておきたいのですが、私は法律家ではありません。しかし、戦略としてここで大切なのは後ろ向きの返答には必ず疑問をさしはさむということです。法務、人事スタッフがその返答の根拠としている文書を提出するよう求めましょう(こうすれば彼らが実際には何も調査していないということを簡単に確かめることができます)。労働産業部の窓口に直接確かめることもできますし、自分たちと似たような団体が普通どのようにしているのかを調べることもできます。


カモフラージュとしてのリスク、責任、保険

10年前に私は「ボランティアは本来的にリスキーか」と題するコラムをノンプロフィット・タイムズに寄稿しました。そのとき私が指摘したことはすべて今でも通用します。

裁判沙汰になるかもしれないというのと、何らかの活動が法的に禁じられているということは同じではありません。ある活動が何の危険もなくよい結果をもたらすのがほとんどの場合、最悪の事態が起こる可能性に重きをおくべきではありません。何事にも一定のリスクが伴います。私たちは日々リスクを敢えて受け入れるか否かの決断をしています。組織にとって問題なのは「訴えられるようなことはないだろうか」ではなく、「訴えられたとして、私たちは自分たちの活動を正当化できるだろうか」、あるいはここでもやはり「このサービスを提供しないことによる影響と、提供してリスクを受け入れるのと、どちらを取るのか」なのです。

残念ながら、ことボランティアに関してはこの理にかなったアプローチがいとも簡単に見過ごされてしまうのです。恐らく、ボランティアに関して言えば問題はこうなるでしょう。すなわち「ボランティア活動のもたらすものに十分な意義を見出し、クライアントのためになすべきだと切実に感じていることを実現するために安全確実な方法―そのために保険費用がかかったとしても―を練る労を厭わないのかどうか。」

繰り返しますが、ボランティアプログラムマネジャーにとって最善の策は自らの地歩を保つということです。ボランティアにしてもらいたいと思っている活動が本当に重要だと考えているなら、最初に「ノー」と言われたからといってひるんではいけません。自らの意見を主張しなさい。法的な問題についてはエナジャイズ・オンライン・ライブラリー(http://www.energizeinc.com/art/subj/risk.html)を利用して専門家が他にどんなことを言っているのか探してみなさい。絶えずこう尋ねるのです。「私の提案ではまずいというなら、目的達成のために他にどんな方法があるのか一緒に考えてください。」

イエスと言わない情報管理者

最後に情報管理者について一言。情報管理者はソフトやテクノロジーについてはよく知っているけれども、サイトの内容の最終的な決定したりコミュニケーションの優先順位を決めたりするべきではありません。もし情報管理者が、ボランティアに関するページの更新をしようとしなかったり応募の書式を掲載しようとしなかったりその他要望に応えてくれなかったなら、なぜ応えてくれないのか本当の理由を探るために質問をしてみましょう。例えば、技術的に難しいからなのか、それとも時間がないのにしなければならないことが一杯あるからなのか、と。優先事項の中にボランティアプログラムを入れてもらうことが問題なら、適当な役員を見つけ、要望実現のため時間を割くよう情報管理者に言ってもらう必要があるかもしれません。
複雑なコンピュータ言語をホームページの効果的な運営に役立てるに必要な問題解決の技術をIT専門家の多くは身につけていることを忘れてはなりません。彼らに働きかけ、オンラインコミュニケーションの必要を充たすためにその技術を駆使してもらいましょう。技術を持ったボランティアを募集し、必要なページを(公式のテンプレートにしたがって)作成・保守してもらい、情報管理者にはただそれをサイトに載せてもらうだけでいいと申し出ましょう。こうすればホームページを一元的に「管理」することができると同時に、「この手の更新にはとにかく時間がかかって仕方がない」というお馴染みの障壁を取り払うことができます。

共通して言えること
どんな場合でも以下のようなアプローチ、戦略を忘れないようにしましょう。

・高度な専門知識を身につけているようには見えても、ボランティアについては、課題や先例に関する十分な知識は持ち合わせていないものだ(まったく何も知らないというわけではないにしても)としてかかりましょう。悪気はないにしても、ボランティアというテーマがいかに複雑であるかを認識さえしていない法律家その他が多すぎます。ボランティアはとても単純に見えますが、実際にそうであることはまずありません。

・拒否されたり顧みられなかったりしたら恐れずに異議を唱えましょう。的を射た質問をして、ボランティアの複雑性についてその人に知ってもらうと同時に、意思決定のあり方についても学んでもらいましょう。

・組織外の資源を活用しましょう。必ずしもすべての人が他人に先駆けて何かをしたいと思うわけではありませんが、完全に遅れを取ってしまってもかまわないとも思わないものです。専門分野の助言者が、これはあなたが勝手に思い描いたアイデアに過ぎないと思ったならそれを却下するのはたやすいことです。けれども同じ実践が他で実証済みであるというなら、何か明確な理由がなければノーというのは難しいでしょう。

・ボランティアと一緒になって進めていきましょう。時として法律やリスクマネジメントの専門家はボランティアが自ら進んで何かに取り組もうするのを思い描くことができないのです。それは間違いだということを示してあげましょう。

さて、あなたがやろうとしていることの障害になっているのは何でしょうか。どのようにして法律家、保険代理人、会計士そして情報管理者とうまくやっていますか。是非とも教えていただきたい!

原文はhttp://www.energizeinc.com/hot/2006/feb06.htmlをご覧ください