本物の協働を、と口先ではいくらでも言えるのですが、非営利組織や政府関連機関でそうした協働を他の組織と実際に行っているところはほとんどありません。本物の協働はとても困難ですし組織を脅かしもします。協働が成功するには、すべての参加者が応分に仕事を負担し資源を提供することが必要になりますし、それと同時に自らの明確な独自性を確保しようと努めたり、また、お互い資金獲得にしのぎを削ることもしばしばなのですから。
ボランティアプログラムには、その主催組織が直面している障害を克服し、協働する道をみつけることができるはずです。その理由はいろいろあります。
- ボランティアはよく複数のコミュニティ組織で活動しており、諸活動間にまったく連携がなかったり組織間で管轄権争いをしたりということについては知るところではありません。実際のところ、ボランティアでいることによって得られる自由の一つは、有給の職員が直面する地理的あるいは官僚的な制限に束縛される必要がないことです。
- 何かというと「財源はどうするの?」と問わざるをえないということもなく、挑戦に値するすばらしいアイディアを考え出すことができるのは、私たちだけです。すなわち、ボランティアたちは興味・関心さえあれば、協働プロジェクトの実験でリーダー的な役割を果たすことができるということです。
- ボランティアコーディネーターの多くは仕事超過となっています。それでも、まちのいたるところで以前からの自分たちの活動を繰り返すばかりで、少ない労力で多くを実現するために力を合わせようとはしていません。
- 私たちと共によろこんで活動しようと思っているボランティア組織は多くあります。ただし、組織のメンバーが「私たち」のボランティアという位置づけを受け入れなければならないなら話は別です。
では、私が考えている協働はどのようなものでしょうか。
コミュニティ問題の解決
挙げればきりがないのですが、例をひとつ。コミュニティが小規模になると多くの場合、公共交通が貧弱になります。これは多くの住民層にとって大きな問題で、十代の若者も例外ではありません。若者たちが、地域の催し、パートタイムの仕事、そしてボランティア活動への往復をどう安価かつ安全に行なうかという問題は、コミュニティの青少年活動組織にとっては切実な関心事です。しかし、その問題を扱おうという組織は皆無です。それぞれの組織が関心のあるボランティア(大人でも十代の若者でも)を募集して、「青年のための交通対策委員会」で共に活動するというのはどうでしょう。ボランティアたちは自分の組織を代表し、必要とあれば時間を割いて可能な解決策を調査したり、対応のための戦略あるいは資金計画案を練り上げたりすることができます。
研修
研修のための「協同体」といった構想は新しいものではありませんが、いまだにほとんど実施されていません。多くの組織に共通の研修ニーズがあるというのがその発想です。そうした協同体には、サービス対象やサービスに焦点をあてたもの(シニアに取り組んでいるあらゆるグループといった具合に)もあるでしょうし、技術に焦点をあてたもの(訪問・メンタリング・個人指導などでの一対一の関係づくりといったような)もあるでしょう。協同体に色々な組織を上手い具合に組み合わせることで、グループ全体としてセミナー、講演、その他の研修プログラムのスケジュールを年間を通じて組むことができ、共通のニーズを満たすことができます。協同体の構成組織はそれぞれ、年に一、二回、しっかりとした教育プログラムの計画と実施に取り組みます。見返りに組織のボランティアなら誰でもその年のすべてのプログラムに参加できるのです(有給職員にもこのようにすることは可能です)。一時期だけ力を集中すれば年間の研修スケジュールが出来上がり、誰もが利益を享受できます。会場を持ち回りにすることも可能で、そうすれば参加者はそのたびに今までとは違った施設を見学できるというボーナスにも与れます。
ボランティア活動の共有
おおよそ20年前には、ボランティアセンターの多くが「技術登録バンク」を運営していました。そこでは、どのような場であれ特技を活かしたいという人たちが、センターに登録し、ボランティア活動の要望に応じることができました。今でも同じようなプログラムがあり、インターネット上で利用できるものもあります。しかし、このアイデアはほとんど注目されていません。ボランティア活用マネージャがこの概念を復活させることは可能です。
特技のあるボランティアの多くは、様々な組織で役に立つことを嬉しく思うでしょう。たぶんDOVIAあるいは専門職のネットワークは、その構成組織に働きかけてボランティアたちのスキルの登録を進め、それを組織間で融通し合えるようにすることも可能でしょう(勿論、ボランティアは断る自由を常にもっていますが)。機会はそう多くないものの組織の如何を問わず必要とされる能力にはいろいろあります。たとえば、
- 写真あるいはビデオ撮影
- グラフィックアート
- 外国語への翻訳あるいは手話
- 芸術あるいはエンターテイメント活動
- 基本的なインターネットスキルの指導
必要に応じてこのようなスキルをもっているボランティアに声をかけることができるとしたらすばらしいではありませんか。このような財産を共用しない法はないでしょう。
私がオーストラリアのアデレードでワークショップを実施している時に、ボランティア活動の共有がひょんなことから違った形で始まりました。私たちはその時ユニークな認証・感謝についてのアイディアを議論していたところでした。地域の大規模な美術館のボランティアコーディネーターをしている参加者が、誰でも電話を入れてくれれば無料の特別ガイドツアーをボランティアのために組んでご褒美にすることができると言ってくれました。このツアーを案内するのは勿論美術館のボランティアたちです。皆が満足するというわけです。
ふたつのボランティア活動界を取り結ぶ
私はキャリアのほとんどをボランティアリズムに費やするなかで、政府機関絡みのボランティア"プログラム"とボランティアのみからなる組織の間に見られる、とてつもなく大きなギャップの橋渡しを試みてきました。ふたつのグループともボランティア募集と、ボランティアとの活動に関っていることは異論のないところでしょう。しかし、実際のところこの2つのグループ間にはほとんど交わりがありません。ボランティアプログラムのマネージャとボランティアグループの主要なスタッフは、同じ出版物を読んでいません。同じウェブサイトも見ていなければ、同じ会議にも参加していません。しかし、別々の「側」にいる人々と話をしている私たちは、それぞれが抱えている問題は同じであり、そして高い頻度で戦略も同じであるという事実を立証することができます。
政府機関絡みのボランティアプログラムがボランティアグループと多少なりとも協力するとすれば、ほとんどの場合それはボランティアの供給源としての協力になります。ギフトショップで水曜の夜に人がいるのであれば、ロータリークラブに人を探してもらいましょう。資金調達のイベントにあと50名の人がいるのであれば、ソロプチミストや近くの教会の女性のグループに手伝ってもらうように頼んでみましょう。
本物の協働をしてみるのもひとつの選択肢です。社会貢献活動クラブ、共済会、コミュニティグループ、信仰コミュニティなどの会長や主宰者を招待して、腰をすえて共通の課題について話しをしてみましょう。彼らのメンバーが関心を持っていて、あなたの組織の目標やサービスとかみ合うものはどのようなものでしょうか? 先方からどのような技能が期待できるでしょうか?こちらからはどんな資源が提供できるでしょうか?ともにやってみようというプロジェクトで、それぞれが単独で手がけるより大掛かりに取り組めるものはありますか?
多様な人々によるパートナーシップ
ボランティアグループとの協働というアイディアの延長線上に考えられるのは、多様性に向かうステップとしてそのようなパートナーシップを意識的に活用することです。20年以上にも前になりますが、イワン・シャイアー(Ivan Scheier)と私は、ディープサウス(訳者注:米国南部の保守的な地域)で開催された、B'nai B'rith(ユダヤ人男性グループ)の支部とJunior League(プロテスタント女性グループ)協賛のボランティアリズム会議で講演するよう招待をうけました。その前夜、イワンと私はソファーに座り、うちとけた話をして楽しく過ごしていたのですが、二人の周りではユダヤ人男性とその妻たちが、プロテスタントの女性たちとその夫たちと、はじめて顔を合わせていたのでした。小規模ながら、お互いを分かり合う有意義な夕べでした。
ボランティアとして惹き込むのに苦労するのはどのような人たちでしょうか? 一度に一人ずつ「違う」人を惹き入れようとするのは止めましょう。そうではなく、カンボジア市民団体(Cambodia Civic Association), アフリカ系アメリカ男性クラブなどを見つけ出し、対等のパートナーとして、互いに関心のあるプロジェクトについて協働を始めてみましょう。これはボランティアプログラムがニーズを満たすための正統的な方法です。こうすれば、相手に独自性をあきらめてもらうよう求めることもなく、皆が知り合って自然な関係を発展させることができます。
私たちは自分たちの組織のリーダーたちに、どのようにすれば効果的に協働できるかを示して見せることができます。そして、私たちの仕事をもっと容易にすることもできるのです。
どのような協働に関わっていますか?
この問題についてどのような考えをおもちですか?
協働をためらわせているのはどんなことですか?
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