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2004年10月
新世紀中国ボランティア事情 ― 支援と学びの機会に
スーザン・J・エリス
私は中国ですばらしい休暇を過ごして、先週帰ってきました。チベットにも4日間滞在しました。仕事からまったく離れてリフレッシュできました。荷造りも、トレーニング・ノートやオーバーヘッド用のシートのことなど気にせず楽しくできましたし。ただ、旅行を振り返ってみて、友達に写真を見てもらったり話を聞いてもらったり、買って帰った手工芸品を飾ったりしていると、今回の旅の経験からボランティア活動について学んだことに次から次へと自分なりに思いを巡らせていることに気づきました。そこで、このホットトピックというフォーラムを借りて、少なくとも私自身が「ホット」だと感じたトピックについて考えてみたいと思います。とはいうものの、こうしたトピックには必ずや私だけでなく皆が大いに関心を持ち、盛んに意見交換が行われるだろうと思います。

最初に、背景を少々(ボランティア関連の話題はこのすぐ後で!)

紀行談や歴史の講釈をする気は毛頭ありませんが、中国はおそらく他のどの国とも異なっていて、しかもそれが重要な意味を持っています。この国を定義するのにもってこいの言葉は「巨大」です。すべてのスケールが私たちの想像を超えています。延々と続く山々や砂漠、滔々と流れる河、人口は10億を超え、100万都市が33を数えます。こうした客観的統計以外にも、中国には将来設計に対する古代以来の考え方があります。荒涼とした土地に3000マイルも続く万里の長城や西安の何千躰にも及ぶ兵馬俑坑、さらには無数の部屋があるラサのチベット法王宮ポタラ(http://www.sacredsites.com/asia/tibet/potala palace.html)など、いずれも想像を絶する建造物を訪れてみると、こういったものを造った人々が抱いた遠く将来にわたる確固たる信念に感銘を受けます。何十年もの間、ひとつの事業に創造的かつ過酷な労働を傾注するということは、出来たものがいつまでも存続するであろうという期待を物語っています。

中国は今、世界最大のダム建設(長江の三峡ダム)の最終段階を迎えています。このプロジェクトは息を呑むようなスケールです。アメリカ五大湖のひとつスペリオル湖に匹敵する人造湖が出現するため、100万人が移住を余儀なくされますが、何百万もの人々に電力を供給し、さらには枯渇の進む黄河に新たな水源を振り向けることになります。周到に計画され、作業も順調に進んでいるようです。2008年北京オリンピックや2010年上海万博の準備の一環として、短期間に両市の大気汚染を改善するため大規模な工場移転も行われています。

中国の現在及び過去における政治の現実を等閑視しているわけではありません。何世紀もの間中国の人たちは皇帝を戴いて苦闘してきました。彼らは賢帝であったり暴君であったりしばしばその両方であったりしました。20世紀になってその支配は終わりを告げましたが代わりに生まれたのが非常に圧制的な共産主義で、その下で多くの文化的宗教的遺産が取り返しのつかないまでに破壊されました。どちらの政体も孤立政策を堅持したため他国に類を見ないほど長きにわたって国外の人々の目から遠ざけられていました。また、都市部が発展する一方で、非常に多くの農民たちが現代化やさらには教育の恩恵にさえもほとんど与らないままになっています。

しかし、中国は今やその10億の民すべてを従えて21世紀へと飛躍したいと考えています。現在、都会では良くも悪くも西洋的な繁栄が新たな装いを見せており、ガイドによればケンタッキーフライドチキンがティーンエージャーたちに人気のデートスポットになっているそうです。言論や行動の自由など根幹にかかわる抑圧は依然として非常に厳しものがありますが、服装や余暇生活など表層的な制約は、個人起業の制約に至るまで、大方過去のものになっています。

さあ、それではボランティアについてはどうでしょうか

滞在3日目に、北京市街の横町の自宅に70がらみの陽気な婦人を訪ねたとき、誰かが通訳を通じて尋ねました。「お仕事を引退なさってからは毎日どのように過ごしていらっしゃるんですか。」その婦人、最初は友達とお茶を飲んだり孫を訪ねたりとお決まりの話をしていたのですが、続いて破顔一笑、こう言ったのです。「2008年オリンピックではボランティアをしようと思ってるんです。」

一行が誉めそやすなか、ベティー・ストーリングス(ベティーも旦那さんと一緒にこの旅行に参加していました。)と私は部屋の向こうとこちらでお互い「やったね!」と親指を立てて合図を交わしました。この一見なんでもないボランティア志願の意味するところに思いが至ったときに私は驚きを禁じえませんでした。第一に、近年、オリンピックを開催する都市ではどこでもボランティアが重要な役割を果たしているということをこの婦人が知っていたという事実。このことから、テレビやその他多くのニュースを通じて、たとえ検閲制度の下であろうとも、他の国の人々が実際にオリンピックを組織している魅力的な光景を中国の人たちが目にしていたということが分かります。第二に、明らかに、この婦人と通訳は中国語によって、ここでいうボランティアの概念を明確に表現することができたのです。そして第三に、自分の町で開催される大規模で胸踊る何ごとかに自負を持って参加するという衝動は本当に万国共通だということが証明されたのには感激しました。

旅の途中、私たちは他にも二つ、実際のボランティア活動に触れることができました。北京の次はチベットでした。ラサのジョンカ寺院のすぐ外に人々が集まって腰を下ろし、ワイワイガヤガヤと楽しそうに、山と積まれた燭台にこびりついた蝋を取ってきれいにしていました。同行したガイドの説明ではこの人たちは寺のボランティアで、毎日何千と訪れる巡礼者たちに供する宿泊場所の面倒をみる手伝いをしているということでした。さらに、上海で私たちは革命記念施設を訪れましたが、そこの壁面には西側諸国とまったく同様、施設のために寄付をした人の名前の一覧が刻まれていました。また、ハンズ・オン・ネットワーク(最近、シティーケアーズから名称変更しました)の最新の支部がハンズ・オン・シャンハイ(www.hansonshanghai.org)であることも知りました。もともとは上海に住んでいる西洋人が中国のチャリティーにボランティア貢献できるようにとスタートしたのですが、地元の人々にもその事業にかかわってもらうよう働きかけています。

私の今までの話に反論もあるかとは思いますが、その前に次のことは確認しておきたいと思います。1)3週間休暇を過ごしたからといって、私は中国文化に関するいかなる専門知識も言い募るつもりはありません。2)中国におけるボランティア活動が私にとって新鮮であるからといって、中国の人々にもそう映るわけではありません。3)コミュニティー・サービスに対する共産政府のこれまでのかかわり方については(過去については言うに及ばずおそらく今日においても)いろいろ議論があるということに疑問の余地はありません。なかには、無報酬の労働を強いるなど、ボランタリーな選択とは似ても似つかないものもあります。けれども休暇から帰ってきてインターネットで調べてみると、当然のことながら、中国で進行中のボランティア事業がいろいろあることが分かりました。そしてウェブサイトでそれぞれが紹介していることを額面通りに受け取ってみました。いくつか例を挙げてみます。
  • ABBという大企業がスポンサーになっている新しいコミュニティー・サービス事業。(ABB社は1907年以来中国にスティーム・ボイラーを供給しています。)すなわち、「ABB社の上海支社からボランティアが9名、上海・浦東の高齢者施設を訪問し…今回初めてABB社はボランティアを組織して上海の恵まれない人々の施設を訪問した。今後もさらに機会を捉えてABB社がその社会的責任を果たしている姿をお知らせしたい。」
  • 上海青少年ボランティア協会はすでに10年以上活動を展開しており、登録ボランティア約30万人を誇っています。参加資格は年齢14歳から35歳、健康で「コミュニティーの仕事に非常に積極的であること」と協会のリ・ジン(Li Jin)氏。 現在、協会は上海で三つの事業にかかわっており、それぞれ貧しい人々、お年寄り、そして「母なる自然」を支援することを目的としています。いまは、来るべき二大イベント、上海F1と2010年上海万博に多くの「ボランティアの熱意に溢れた」人たちがかかわっています。
  • この7月、チャイナ・ビューが報じたところによると、現在、12万人の専門家と100万人の女性ボランティアが農村地帯でエイズ予防・抑制に従事しています。コンドームの使用を普及させたり、それ以外にもエイズ感染経路を断つための活動が「国連の精力的な支援のもと、八つの省で行われており、大きな成果をあげている。」
  • 中国共産主義者青年同盟は1993年、ボランティア活動を全国的に展開するために事務所を設置しました。そのウェブサイトによると「わずか10年前には、多くの中国人民がボランティア活動の何たるかまだ考えも及ばなかった…いまや、若者たちは組織的に高齢者や障害者を助け、内陸の村々の貧しい人々に教育を授け、APECやスポーツ大会などの大規模な活動にかかわっており、ボランティア活動という考え方はあらゆる人々によく知られるところとなっている。」
  • 北京国際ボランティア協会というのがあって、地元の人も外国人もそのメンバーになっています(www.civa.org.cn/english/about-us.htm)。
  • 「ボランティア活動と福祉に関するチャイナ・フォーラム」が2002年に北京大学の「ボランティア活動と福祉に関する研究センター(RCVW: the Research Center for Volunteering and Welfare)」によって始められました。ここではボランティア活動や社会発展に関する学術的な意見交換の推進が図られます。RCVWは2003年12月の国際ボランティアデーに第7回のフォーラムを開催し、私たちもよく耳にする問題をいくつか取り上げました。
  • 「近年、中国におけるボランティア活動は急速に発展しており、中国政府も大いに関心を持ち支援している。ますます多くの市民が進んでボランティア活動に参加し、いろいろなボランティア団体が設立されている。急増するこれらボランティア団体をどうすれば効果的にマネージすることができるのか。こうした豊かなボランティア資源を十二分に活用するにはどうすればよいのか。ボランティア・マネジャーやボランティア活動家からこうした疑問が示され関心の的になっている。」

ボランティアにかかわっている世界中の人々が、中国で近代的なボランティア活動が進展するのを目撃すると言うまたとない機会に恵まれています。これは同時に、支援をしたり新しいことを学んだりする機会でもあります。私たちがただ西洋的なボランティアの方法を中国の状況に押し付けようとしているだけなら(不幸にもこうしたことが東ヨーロッパで起こりつつあるようですが)とんでもないことになるでしょう。確かに中には洋の東西を問わずうまくいく実践もあるでしょう。仕事内容を明確に定義したり、コーディネーターを配置したり、できるだけ多くの人に参加を呼びかけたりといったものがそうです。しかし、以下に挙げるようなものは、近代的なボランティア活動が中国の伝統に沿うようにうまく組み込まれていくのでしょうか。もしそうなるとしたら、その経験はどのようにすれば中国以外の地域でも活かすことができるでしょうか。

  • 全体の利益が個々のニーズに優先するという信条。
  • 親をはじめ高齢者に尽くすのは個々人の義務だという考え。
  • 自然に対する、あるいは(輪廻の思想にみられるような)絶えることなく新たに繰り返される生命という観念に対する親近感。
  • あらかじめ何年も前から計画しておくことで得られる安堵感、巨大で複雑なプロジェクトを見届けるだけの忍耐。

こうしたものが一体どのような展開を見せるのか私には分かりませんが、将来的にその意味するところが「巨大」であることは確かです。加えて、私たちはアジアのあらゆる国でみられるボランティア活動のパターンに関心を払う必要があります。なぜなら、この地域では世界のどこよりも多くの人々が生活をしていますし、われわれ西洋の国々の中でもアジアの伝統に沿って暮らす市民の数がどんどん増えているからです。この潜在的なボランティア資源を活用する術を私たちはまだ実際には会得していませんし、一方で彼らが我々からの働きかけを待っていることも確かなのです。

  • 中国やその他のアジアのボランティア活動についてもっとよく知っているのなら、私たちにも教えていただけませんか。
  • 中国やその他のアジアの国々から、ボランティア活動に関して私たちはどういうことを学ぶことができると思いますか。

出典
1 http://www.abb.com.cn/global/cnabb/cnabb050.nsf!OpenDatabase&db=
/global/cnabb/cnabb054.nsf&v=BF6&e=us&url=/global/seitp/seitp202.nsf/0/ 43D2566397A6CED748256E920023432F!OpenDocument

2 http://www.thatsmagazines.com/features/index.asp?
sectionid=50&location=sh&view=detail&articleid=714

3 http://www.worldvolunteerweb.org/getnews/news2.cfm?ArticlesID=566
4 http://www.chinadaily.com.cn/en/doc/2003-12/05/content_287402.htm
5 http://www.civa.org.cn/english/news/20031205.htm
原文はhttp://www.energizeinc.com/hot/2004/04oct.htmlをご覧ください