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2004年9月
職場のボランティア活動支援:充分な検討はされているのか?
スーザン・J・エリス
企業・雇用者が、従業員にコミュニティ・サービスへの参加を促したり、支援するといった考え方は、私たちの分野ではほとんど絶対的なよりどころとして受け入れられています。このホットトピックスを読まれているみなさんなら、職場を介したボランティア募集に対する好意的な議論についてご存知だと思います。中でも、大企業、非営利組織や行政の場合がそうです。そこで、この実践に関するいままでほとんどなされてこなかった分析を喚起するために、職場のボランティア活動展開のあり方について、*私が日増しに危惧しているいくつかの課題をまとめてみることにします。こういった課題は世界中で生じています。

課題1: CSR(企業の社会的責任)という大きな構想に、従業員たちのボランティア活動はどのように適合するのか?

社会的問題に対する行政の予算を合理的に打ち切り、財源が不足している課題に市民たちが進んで取り組むように熱心に勧める政治家たちに、私たちは疑いを抱くようになっています。同様に、企業の評価に影響を及ぼす可能性のあるものから遠く離れた目的のために従業員のボランティア活動を推奨しているのであれば、企業は従業員のボランティア活動を、上辺だけの社会的良識を企業活動に付け加えるための安易な方法と考えていることになります。

企業が、従業員にボランティアをする(自分の時間を使う場合は特に)ことを奨励することは、比較的努力を必要としません。しかし、企業として良き市民の一員を構成していくには、下記に挙げているようにかなりの努力が要ります。
  • 合法的かつ倫理的に行動する。そして、企業の非合法で道義に反する行為を従業員が明らかにする内部運動を処罰するのではなく、むしろ評価される環境を醸成する
  • 環境への関心を示す。特に、汚染しない、壊れやすい生態系に悪影響を及ぼさない、あるいは、生物分解が可能でない廃棄物を排出しない方法で製品生産する。
  • 雇用、労働条件、福利厚生に関しては、極力、行政が規定している必要最小限の要件にとどまらないで、偏りない労働慣行を実施する
これらの責任を行なうこともなく、従業員がボランティア活動することを称える企業は、私にとっては、自らの至らない部分を世間(そして従業員)の目からそらすことを企てているとしか思えません。そのかわりに、企業が引き起こしている、あるいは回避したいと願っている問題の解決に従業員のエネルギーを向けさせることはできるはずです。こういったコミュニティ・サービスなら多くの従業員が心底から受け入れるでしょう。

職場のボランティア活動支援プログラムを確立する上での取り組みは、企業文化の論理必然的な延長にあって次の基準を満たすときにはじめて筋が通ります。

  1. ボランティアプロジェクが、ビジネスの中心的なミッション(専門知識・技術の領域)に直接関連があること。公正の観点からすると、同時にボランティアプログラム・マネジャにも、あれこれの運動のために、手近な企業に助けを求めるようなことはしないという一定の責任が生じる。
  2. 従業員のボランティア活動が、企業の顧客あるいは、事務所や工場に隣接する地域の住民に直接影響があること。もしくは、(奨学金調達イベントと言ったような)従業員あるいは従業員の家族を支援するものであること。
  3. 従業員に、空いている時間に取り組める情報を提供するだけではなく、企業が具体的な取組みをしていること。
ところで、私は図らずも、企業が支援するボランティア活動の中では、有給の「就業時間内」でのボランティア活動は、重要性は最も低いものの一つであると思っています。確かにいいことではありますが、企業に最小限のコミュニティ・サービスの機会を支援しているという口実を与えてしまうことになります。はるかに歓迎したい方法は、誠意のあるフレックスタイムです。たとえば、従業員が午後3時に職場を出て、学校の放課後にチューター、コーチあるいは子どもたちのリーダー役を務めることを可能にしたり、食事の配達サービスをするために昼食時間を延長することを可能にすることは、極めて価値のあるものです。人々にとっては、一週間に2−3時間時間を活動に割くことは苦にはならないものですが、休みを取る許可を申し出るのは気がすすまないものです。

課題2: 職場のボランティア活動の参加者とは?

実際に従業員のボランティア活動支援をこなしてきたのが管理者レベルである状況においては、企業の重役たちが、従業員のボランティア活動支援のために地域で「受入れ」てもらわなければならないのは滑稽だと、私はずっと思ってきました。企業の幹部が、コミュニティ・ボードや市民プロジェクト計画委員会の会合にいつになっても企業として参加しています。しかしながら、これでは "ボランティア活動" と呼ぶわけにはいきません。多くの従業員のためのボランティアプログラムは、役職のない従業員に焦点が当てられていて、中間管理職や上層部も同様に参加するようになっていないことは気に掛かるところです。

別の問題としては、どうして私たちボランティアプログラム・マネジャは、主にフォーチュン誌に載るような大企業について重点的に議論するのかということがあります。企業は大きくなればなるほど、地域コミュニティに対して直接的な関心はないものです。間違いなく、まちの小規模な会社は、世の常としてコミュニティに一役買っています(リトルリーグの野球チームのユニフォームの背中にちょっと目をやってください)。中規模の企業を忘れてはいませんか? 商工会議所が、コミュニティの発展のためにボランティア活動を検討するようにと会員に奨励する場合には、彼らはどこに関わるのか考えてみましょう。

課題3: この勢いに加わる非営利組織や行政の根拠とは?

最後に一番重要なことを議論しましょう。ここ5年余り前から、規模の大きな非営利組織や多様な行政機関(地域、州、連邦)が、職員のために勤務時間中の選択や活動に参加する日を設けていることを誇らしげに公表することが、多くなりました。でも、このことを行なう正当性はどこにあるのでしょうか?

私を激しく非難する前に、ボランティア活動をしたり、そのために仕事のスケジュールの調整ができることを欲している従業員に、経営者がフレックスタイムを従業員に実施することに関して、私は文句なしに喜ばしいと思っていることはご了解ください。必要があれば、勤務時間中に計画のためのミーティングを、従業員が開催することを認められることも歓迎します。また、ボランティア活動紹介フェアを開催や、掲示板やイントラネットへの募集情報掲載や、さらには職場で広くコミュニティのニーズや可能性に関する情報を従業員に知らせることを認める、といったようなボランティア募集への支援はすばらしいと思っています。従業員の訓練、専門的能力の開発、あるいはコミュニティに対するオリエンテーションの一つの方法としてボランティア活動をすることも効果的です。

私が問題だと思っているのは、非営利組織や行政の職員が勤務時間中にコミュニティの活動にかかわり、ある課題に取り組んでいくことです。非営利組織や行政の究極の目的は、すでに社会的責任のある仕事を遂行することなのです。それぞれのミッションは、人々のために働くことであり、寄付者あるいは納税者に託された仕事を遂行することなのです。

私たちは、企業の従業員ボランティア活動として始まったものを、あらゆる職場のボランティア活動へと大きく発展させようとする傾向にあると思います。というのも、平日の日中に活動に関わってもらいたいと思えば、すでにその時間帯に雇用されている人々のところに行かない限り、誰にも関わってもらえないだろうと思っているからです。このことは、営利企業を超えて働きかける正当性を示しているというより、ボランティア募集の創造性の欠落を意味しています。つまり、アプローチできる中規模の企業もまだまだありますが、24時間体制のシフトを組んでいるところも同様で、こういったところには誰もボランティア活動の勧誘をしていないと思われます。理屈からすると、あなたの団体で平日の朝の9時から関わってもらえる最適な人は、朝の7時に交代勤務を終えたばかりの人です。9時から5時までの勤務を終えて、夕方の時間帯を提供してくれる人々を当たり前のように期待していますが、夜の11時から朝の7時までの勤務の後では、ダメなのでしょうか? しかし、(これらの人々と連絡をとるには)朝の3時に人を募る必要性がでてきます。そこで、職務専念義務免除制度のために、われわれは自分たちの勤務時間の組み方に奮闘することになります。

非難を受ける心積もりはできています。ですので、あなたの思慮に富むご意見をいただき、共有していきたいと思います。



*中には、1997年にホットトピックスで私が雇用者支援のボランティア活動について考えたことに興味がある方がいらっしゃるかもしれません。Redirecting Corporate Volunteering: Making Welfare Reform Work http://www.energizeinc.com/hot/oct98.html
原文はhttp://www.energizeinc.com/hot/2004/04sep.htmlをご覧ください