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2004年8月
応用未来学:先取りしたトレンドを今に活かす
スーザン・J・エリス
内外のニュースを見て信じられないといった気持ちになったりしますか。世界や地域の様々な動向が自分の運営するボランティア・プログラムに先々影響を及ぼすことになるのかもしれないなどと考えたりしますか。そうでないといけないのです。ボランティア活動は決して真空の中で行われているわけではありません。ですから市民の多くに影響を与える社会、経済、文化のトレンドは何であれ、ボランティア達にも必ず広範な影響を与えることになります。

時事問題を知ることは、新しくてホットなものを捉えるいい機会になることもありますし、それが警鐘となって悪影響を避けるのに役立つときもあります。上手に未来を見通せるようになって、絶好のトレンドを確実につかむ一方で悪いことを巧みに避けることができれば、自分のボランティア・プログラムを強化することができます。

将来を見通すことの必要性

まず、忘れてはならないのは、未来学者は複数の未来について語ると言うことです。未来学者がそうするのは、任意の時点でわれわれが選ぶことのできる道は無数にあるからです。実際には三つの異なるタイプの未来を考えます。

  • 「可能な未来」 これには、ユートピアンの描く筋書きから地獄のような悪夢まで、われわれが現時点で知りうる森羅万象の法則の範囲内で起こり得るありとあらゆるものが含まれます。

  • 「予測される未来」 可能な未来の中核をなしますが、現在進行中でこの先何年かにわたる出来事から十分推測することのできる未来です。破局や奇跡などの大きな変化が起きなければという条件がつきます。

  • 「望ましい未来」 明らかに主観的なもので、人により様々です。

ボランティア活動はすべて望ましい未来に関わるものです。なぜなら、人々がボランティア活動をするのは、望ましい結果をもたらすために支援していかなければならないと自ら信じる主義主張のために他ならないからです。しかし、「望ましい」というのは個人的見解だということをわきまえて、実態を調べ、あなたの団体とそこで活動しているボランティアが同じ目的を思い描いているようにしなければなりません。たとえば、ここ十年でアメリカの医療は激変しましたが、そのため病院も長期ボランティアがたくさん登録していた時代とは全然違った場所になりました。しかも、変化はまだまだ起こると予測されます。現在病院の理事たちが何を優先課題だと考えているかを調査して、その回答を同様の調査に対するボランティアの回答と比べてみた場合、両者の意見は一致すると思いますか。いま新たに病院のボランティアに応募する人たちがこの先十年の医療を見通したときにどのような将来像を描くと思いますか。

日々の活動の場面では、こういった将来の予測は一般に考えられている以上に重要です。組織の管理運営に携わる人たち(有給の理事であろうがボランティアの理事会であろうが)と最前線に立つ有給職員やボランティアが一致した将来像を描いていないなら、予算配分、方針決定、活動計画、マーケティング、活動の評価、成果の認知などさまざまな場面での衝突は避けられません。ボランティアだけからなる組織の役員とメンバーの間に将来像の食い違いがある場合にも同じような緊張が生じるでしょう。

ボランティアリズムを行動に移している人たちに未来学が必要であるもうひとつの実践的な理由は、それがボランティア・プログラムの開発に応用できるということです。人々が公私にわたって関心を持っていることが何であるか分かれば、それだけ効果的なボランティア募集のメッセージを作り上げることができます。新たに活動の対象となる人々のニーズを正確に捉えて、そうした人々に自分の団体が提供することになる活動内容の見当をしっかりとつけることができれば、それだけ一歩先を行くボランティア活動を創り出していくことができるようになります。すなわち、事後的に対処するのではなくニーズを先取りすることができるのです。ボランティア・プログラムのおかげでその組織が最良のサービスを提供できるようになるのなら、そうしたプログラムは、新しい流れに引きずり込まれるまで動こうとしないプログラムに比べると、はるかに組織の使命達成に欠かすことのできないものとなるのです。

未来学者になるために

トレンドを予測してそこから行動を起こすには、とにかくまずトレンドに気づかなければなりません!そのためには、ニュースやその解説に関心を持つことです。テレビや映画のフィクションによく登場する題材に気を付けておくことも大切です。30年前にはどのテレビドラマも両親と子供達からなる核家族を扱っていました。今ではテレビドラマには、離婚した片親の家族、未婚の片親の家族、子供のいないカップル、違った結婚形態の家族が一緒に住んでいる場合、性嗜好も一様でない、などなど、いろいろな家族が登場します。たとえばあなたの団体が子供達を対象にしているとして、あなたやあなたの仲間そしてボランティアはどのような「家族」を思い描くでしょうか。その家族像とサービスを受ける側の子供達の思いとはどのようにしてうまく折り合ってゆくのでしょうか。

確かに、目を見開いて社会生活を送ることは、トレンドを捉える良いスタートにはなるでしょう。けれどもトレンドは、意識して注意を払う努力をしなければ捉えることはできません。読みものの幅を広げて新聞の社説や特集記事にも目を通しましょう。ティーンエージャーあるいは特定の業界やエスニック・グループなど、いろいろな読者層を対象にした雑誌にもざっと目を通し、それぞれがだいたいどんな問題に関心を持っているか確かめてみましょう(これ、病院の待合室や美容院に散らかっている取るに足らない雑誌類にも価値を見出す素晴らしい方法でしょう!)。商工会議所の集まり、あるいは大学や図書館の時事フォーラムに出ましょう。追ってみたいトレンドが見つかったなら、ボランティアを募ってさらに詳しく知ることができるよう助けてもらいましょう。インターネットで資料や意見を集めるのも良いでしょう。

トレンドを十分つかめたと感じたなら、関連する問題を様々な観点から分析できるよう協力を求めましょう。年に1、2回はトレンド・シンクタンクを開催してボランティアや職員を招き、みんながめまぐるしい変化を感じている社会、経済、文化の諸問題を議論したり、そうした問題があなたの団体に影響を及ぼすとしたらそれはどのようなものか考えてみたりしてみましょう。ボランティアに依頼して、新しいトレンドを感じさせるもので何か目を惹くものがあればいつでも記事の切抜きをしてもらったり役に立つウェブサイトを教えてもらったりするようにしましょう。

非常に重要なのは、どんなトレンドでもその予測される結果の「第一の波」の先を見越すことです。とても否定的に思えるものでも当初の混乱が収まってしまえば結局は思ったより前向きなものになっていたということもあります。また、最初に見たときはとても素晴らしく映ったのに時間がたつにつれて意外と問題が出てくる場合もあります。戦略としてあなたやあなたのシンクタンクにお勧めしたいのは、どのようなトレンドについても想定される結果のプラス、マイナス両面を確認しておくことです。どちらかのリストが長くなってもかまいません。自分自身を知ることも大切です。楽観、悲観どちらかにつく傾向があるのなら努めて問題を逆から見るようにしましょう。他の人の力を借りてそうするのも良いでしょう。

最後に、「未来に関するアドバイザー」として専門家をボランティアに募集しましょう。知識の宝庫はどんなコミュニティーでも手に入れることができますし、その人が必ずしも現場でボランティアとして活動していなくても、あなたや意思決定に携わるキーになる人たちに洞察を与えてくれます。ボランティア・プログラム・マネジャーとしていろいろな人に依頼して、年に何時間か会議や電話や長文メールに時間を割いてもらって、専門的見地からそれぞれの質問に答えてもらうことだって可能です。こうしたアドバイザーには、政界の人、活動資金提供者、記者、大学の教員、とにかくあらゆるタイプの市民のリーダーがなりうるわけです。質問の例をいくつか挙げておきます。

  • あなたの専門領域から考えて、今後3年の間にわれわれの団体が備えておくべきトレンドで最も重要なものは何だと思われますか。今後20年間ではどうでしょうか。
  • われわれの活動の対象となる人々(あなたの知っていらっしゃる限りで結構です)に今後5年間で最も影響を与えると考えられる問題を三つ挙げてください。また、それはどのような影響ですか。
  • あなたの目からわれわれが住んでいる地域を見た場合に、今後3年間でどのような変化が起こると想像なさいますか。今後20年間ではどうでしょうか。

こうした質問をすることで生のデータを手に入れることができ、それをシンクタンクが取り上げてあなたの団体独自の観点からの分析を加えることができるのです。

未来を想像してみて、ボランティア活動部門の人たちに将来構想を描くよう期待するような団体をあなたは考えられますか。あなたに戦略構想チームに参加するよう呼びかける団体はどうですか。ボランティア活動の場で革新的な事業を試してみるなど、ボランティアのユニークな能力を駆使して新たな状況に機敏に対応できる団体を思い描くことはできるでしょうか。そうなれば素晴らしいじゃないですか!

どのようにしてトレンドや関連する諸問題について絶えず情報を手に入れるようにしていますか。
どのようにしてトレンドから学んだものを実地に役立てていますか。
どのようにして団体の将来戦略構想を立てる力になっていますか、あるいはどのようにすればそうなれるでしょうか。
原文はhttp://www.energizeinc.com/hot/2004/04aug.htmlをご覧ください