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アーバン・インスティチュート(Urban Institute)が2月に、調査研究Volunteer Management Capacity in America's Charities and Congregations: A Briefing Report (「米国のチャリティー(チャリティー)と教区におけるボランティア・マネジメント能力:概要報告」)を公表しました。http://www.nationalservice.org/research/vol_capacity_brief.pdf. から、この34ページのPDFをダウンロードし、読まれることをお勧めします。 また、http://www.usafreedomcorps.gov/about_usafc/whats_new/announcements/20040219-1_A.asp. からも主要な研究成果の要旨を掲載しているプレスリリースを読むことができます。この調査研究は、the
UPS Foundation(ユーピーエス財団), 国内・コミュニティサービス公社(the
Corporation for National and Community Service)、the USA Freedom Corps(全米フリーダムコープ 訳者注:ブッシュ大統領による全米のボランティア促進政策のひとつ)によって作成されました。ボランティア・マネジメントへの(報告書の用語に従えば)「投資」の価値をこれほど高く評価したものは米国ではおそらく私の知る限りなかったでしょう。
資金提供者や組織がボランティアコーディネータ職員や研修に投資すれば、チャリティーや教区はボランティアを活用する卓越した力量を備えるようになるだろう。本報告では、ボランティア・マネジメントへの投資とボランティアから得られる利益には相乗効果があることが明らかになった。すなわち、投資が利益をもたらし、その利益がさらなる投資をする正当な理由づけになるのである。ボランティアが自分たちが活動している組織に意義をもたらしていることは、効果的なボランティア・マネジメントが優先事項になる、が私たちの結論である。(29-30頁)
概要報告はうまくまとめられていますし、読みやすいものです。しかし、あらゆる研究と同様に、同意できない想定や結論はいくつかあります。私の好きなことばに「統計はビキニのようなもの。つまり、人を引き付ける部分は見せるが、肝要な部分は隠す」があります。ここに、私が賞賛そして問題点を指摘すべきだと感じたいくつかの項目をまとめてみます。また、みなさんにも同じようにされることお勧めします。さらに注目すべきことは、アーバン・インスティチュート(Urban Institute)は直接に発言を求めていることです。3月1日よりこの目的のために、ウェブサイト: www.volunteerinput.org が開設されます。ボランティア・マネジメントという専門職に利害関係のあるみなさんが、私たちの意見を届けられることを切に望んでいます。
評価できるところ
何にもまして、この研究のスポンサーがインフラストラクチャーに関する質問を取り入れたことは賞賛すべきです。この研究が、「ボランティア・マネジメントの成功事例」を理解し、承認し、活用したこと、そして「ボランティア・マネジメント成功事例」が広く取り入れられるかどうかを確認しようとしたことは、ブラボー!すばらしいです。組織の「ボランティア・マネジメントへの投資」を評価する方法は、検証可能な指標になっています。
エナジャイズのホームぺージの読者を驚かせるような調査結果はありませんが、同じことでもおそらくより大きな権力と影響力を持った人たちによって表明されなければならなかったのでしょう。調査としては、統計的サンプルと出典はとても優れているようです。また、このテーマについて、IRSフォーム990(訳者注:IRS= Internal Revenue Service、内国税歳入局。 米国では年間収入が2万5千ドル以上の非営利組織はIRSに納税申告書"フォーム990"を出すことが義務づけられている)のデータベースが使われているのはすばらしいと思います。非営利のチャリティーと並び、宗教組織が含まれていることも、とても興味深いです。
ここに私が注目したいくつかの記述をあげてみます。みなさんが多くのところで、これらを引き合いに出されることを期待しています。
- チャリティーや教区が直面している最大の課題は、ボランティア・マネジメントの成功事例に人材を充分に割いてそれを実践することが出来ないことである(2頁)
- 5つのうち3つのチャリティーと、社会奉仕のアウトリーチ活動をしている教区の3つのうちわずか1つが、ボランティアコーディネーションに従事する有給職員を雇っていると報告している。しかし、これら有給ボランティア・コーディネーターの中で、3人に1人は、ボランティア・マネジメントの研修を受けたことがなく、半数はボランティアコーディネーションには労働時間の30%未満しか費やしていない(3頁)
- ボランティアを活用しているチャリティーと教区の半数以上は、この分野が提言しているボランティア・マネジメント実践を余り取り入れていない(3頁)
- 有給のボランティアマネージャのいるチャリティーの中で、ボランティア・マネジメントに100%の時間を割いて専念する人がいるのは8つのうちわずか1つである。私たちの調査では、1つの教区のみがフルタイムのボランティア・コーディネーターを雇っていると回答した(8頁)
- 総合すれば、ボランティア・マネジメントのための有給職員のサポートに関して、米国におけるボランティア管理運営の専門性は乏しく充分活かされていないことは明らかである。多くのコーディネーターが何らかの研修を受けようとしている事実は、多くのコーディネーターたちがボランティア活用の方法について学びたいと思っていることを示唆している。しかしながら、ボランティア管理に費やされている時間の短さは、チャリティーならびに教区が、ボランティア・マネジメントに割り当てるための資源を持っていないか、組織の資源を主として他の活動に充てていることを表している(10頁)
- 必要としているスキルを持ったボランティアを集めるのは、チャリティーの18%が大変むつかしい、44%が少しむつかしいと答えている。しかし、有給職員がボランティア管理に時間を割く割合が多くなればなるほど、チャリティーがボランティア募集で問題があると回答する率は低くなっている(12頁)
資金調達にかけている人材(55%の非営利組織は有給の資金調達職員を雇っています。一方、わずか39%しか有給のボランティア・コーディネーターを雇っていません)と比較して質問をしたり、組織とボランティアをしたいと思っている人をつなぐボランティアセンターの意義・価値を強調する記述を追加しているのもこの研究を行った人達の功績でしょう。
よくないところ
ボランティア管理の専門職がもっと多く活躍するよう求めているのは確かですが、当研究にはこの専門領域を代表するものが関わっている形跡は全くありません。AVAやポインツオブライトのような組織、私のこのホームページのようなサイト、あるいはこの分野の文献や定期刊行物であれ、こういったものに関する参考資料が報告書の巻末にありません。いつもながらの慣例が踏襲されていて、この研究報告を読んでもっと知りたいと思った人がこれらの情報源に気付かないように、あるいはアクセスできないようになっています。
他にも私が気になったことがいくつかあります:
- 理事会について触れられていません。非営利団体の理事会を務めるボランティアたちを、調査研究された現場性のあるボランティア活動と関連づけることばが、当報告書にはまったくないのです。このことは、こうしたボランティアをする人たちをどこか本質的に「異質」であるとして別に扱うという、因習的で逆効果を生じるやりかたを永続化させます。すぐれたボランティア・マネジメントの原則は、選り抜きの多様性に富む(多くの団体が必要としていることです)理事会を確立することにも等しく当てはまるにもかかわらずです。当報告書に「この研究を実施してみて、ボランティアたちが運営・事業に関わっている米国のチャリティーの比率が私たちには初めてわかった」(6頁)とあるのに、目がとまりました。全ての団体では理事会が主にボランティアからなっていることは、私たちにはすでにわかっていたことでしたが、このことは、「チャリティーの5つのうち4つがボランティアを活用している」(6頁)という調査報告には議論する余地があるということです。
- 「ボランティアの定義は?」 回答者がその回答の中に学生のインターン、(AmeriCorpsなどの)有給活動、企業社会貢献参加者などを含めているのか、あるいはボランティアを初めてする人たちを呼び込むために多様なことばを使っているのかは、明確ではありません。たとえば、すぐれた知識・技術をもつボランティアの数は少ないと申告している団体が、ボランティアということばに固守しないで、「専門的な活動の提供」あるいは「善意でおこなう貢献」といってボランティアを募集したことはあったのでしょうか?
- ボランティアのワーク・デザインという重要な論点との関連に触れないで、ボランティアの募集についての調査研究がされています。募集に関する問題は、これからボランティアとなるかもしれない多種多様な対象者が、関わることのできる有意義で興味をそそるような役割を創造する力が不足しているからだと、私たちの多くは感じています。しかし、募集に関する問題は、情報とスタッフの時間が不十分であることが原因であると、紹介されています。よってこの研究には、たとえば「私たちは、"必要以上に多いボランティア"という課題は取り上げていない。というのは、検討したその他の課題とは異なるものであると思っているからである」(13頁)とあります。私に言わせれば、"必要以上に多い"ボランティアと表現している団体というのは、その数の人々にどのように活動してもらうかのアイディアがないだけです!
- 統計上は別のものとして扱われていても、本報告書では、宗教的コミュニティと非営利団体は同様に捉えることが出来るのだと言わんとしています。このことで、教区がどのように活動しているのかを理解していないとわかります。特に"マネジメント"にかかわることばや理論はどのようなものであれ、精神性もなく宗教グループにはそぐわないとする抵抗感が一般的にあります。
- 完全に欠落しているのは、行政へのボランティアの関わりにおけるマネジメント実践です。行政に関係しているあらゆる場面で本当に多くのボランティアが活動していますが(少し考えてみただけでも、学校、公園、刑務所、図書館、退役軍人病院など)、当研究ではこうした公共の場における設定がありません。またしても、行政は自分たちには同じ原則を用いることはせずに、何をすべきか私たちに口をはさんできます。しかし、訓練を受けた有給のボランティア・マネージャが行政機関に一体何人いるのでしょうか?行政が独自のボランティアインフラストラクチャを確立するために、もっと財源を投じるでしょうか?当研究には、これらの答えはありません。
予想されているとは思いますが、充分な財源に替わるものとしてのボランティアの重要性についての次は憂慮すべきものです:
ボランティアによる時間は多くのチャリティーや教区、特に事業を実施するための人材を雇う資金のないところにとっては、貴重な資源です。ボランティアによる時間は、金銭による寄付に匹敵するものです(29頁)
当報告書のこの部分に込められた前提は、これはこれでホットトピックスの話題になるものでしょう。
堪えがたいところ
当研究の政治的理由ならびに研究結論について私は疑問を感ぜずにはいられません。この研究にも述べられているように、「ブッシュ大統領はボランティア活動への呼びかけ(Call to Service)をし、ナショナル・コミュニティサービスプログラムがプログラムデザインを最大限に活かしてボランティア活動の動員の原動力としての役目を果たすようにという指令を出している」(5頁)のですが、この研究はこれらと不可分のつながりがあるように思われます。研究結果が国内・コミュニティサービス公社(The Corporation for National and Community Service)のために役立ったり、宗教に根ざした諸活動をさらに推し進める助けになったりといった利己的なものでなければよかったと思います。
最も問題なのは次の結論の部分です。
ソーシャルサービスのアウトリーチ活動を実施しているチャリティーと教区ともに、ボランティア・マネジメントの力をつけるための手法として最も要望のあったのは、ボランティア募集とマネジメントの職責を持った(アメリコアAmeriCorpsのように)生活給付金が適用される1年間のフルタイムのボランティアを増やすことである(3頁) 。
ボランティア・マネジメントに真剣に取り組む必要をこれだけ強調しておいてその結論が、1年間のボランティアというのでしょうか?このことは、「ハンマーを持つ人には、全てが釘に見える」という格言と同じだと思います。多くのビスタ・VISTA(Volunteers in Service to America 連邦政府によるボランティア活動プログラム)と同様に、アメリコアは、確かにボランティアたちに関わってもらうことで組織として力をつける上で大変助けにはなります。しかし、この問題に関する研修をボランティアたちが受ける必要があると認知されたとしても、彼らは最善の問題解決手段ではありません。
ボランティア・マネジメント実践の研修を受けたのちに、アメリコアのメンバーたちは数々のボランティア・マネジメントの課題に対処する手助けができる場所に配置される。アメリコア型のボランティアは、ボランティアを訓練したり指導したりする時間や資金のないチャリティーのみならず、求めているタイプのボランティアを必要としている人数を集めることに苦戦している教区では特に有益であることがわかった(31頁)。
感想をいくつか挙げてみましょう
- 何故、ボランティア・マネジメントの長期的な(財源の面と関心の面での)取組みから組織を解放させようとするのでしょうか?
- ボランティアを支援するために設けられた研修を組織の中で誰も受けることができない場合、ボランティア活動に関してほんのわずかの研修を受けたばかりの人でも、成果をあげることができると何故思っているのでしょうか?
- ボランティア・マネジメント実践の研修を一体誰がするのでしょうか?国内・コミュニティサービス公社でしょうか?であるなら、誰が公社の人達を研修するのでしょうか?
- 宗教団体の人集めのためにアメリコアの人々を送り込む必要があるのでしょうか?
宗教関連の団体との関係は、明らかにブッシュ政権が宗教に基づいた活動を強調しために、掘り下げて検討された唯一の外部変数です。調査結果には、これらの質問に対する説明もなければ弁明もなく、あるのは根拠のない楽観論です。
・宗教組織と連携のあるチャリティーは、ボランティア・マネジメントにかなりの投資をしているにもかかわらず、課題も多いと答えている。しかしながら、数多くの多様なマネジメント実践実施により、彼らは課題を打開する潜在的能力を獲得すると予測している(22頁)。
当報告書の活用
当報告書には、政治的な活用の域にとどまらないで、強い影響を与えることができる多くの評価できるところがあります。下記の記述に関して、私たちはどのような意見を述べることができるでしょうか?
結論としては、ボランティアたちが有益であるという信念が、チャリティーがボランティア・マネジメントに投資をすることにつながり、ボランティア・マネジメントへの投資は、ボランティアの有用性をより評価することになる(20頁)。
これは、事務局長、資金提供者、非営利組織のマネジメントコースのある大学の学部のスタッフ、その他ボランティア・マネジメントに資金を使ったり、関心を向けることに反対する人を説得する手段となるでしょうか? 組織としてであれ個人としてであれ、当研究報告書の重要点を出来る限り多方面に広めるのは私たち次第です。
みなさんは、調査結果についてどう思われましたか?
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