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2004年1月
経済発展、インターネット技術、そしてボランティア
スーザン・J・エリス

週刊エナジャイズホームページニュースをご覧いただいている方は、すでにご存知だと思いますが、昨年12月初旬にスイスのジュネーブで開催された「世界情報社会サミット」(WSIS, World Summit on Internet Society)に先立ち、「ボランティアとICT(情報通信技術)」と題した会議に出席する機会を得ました。世界情報社会サミットには200カ国から15,000人を越える参加がありました。ボランティアが公式の議題であったことは、注目すべきことです。多くのスピーカーや新聞は、特にウェブやオープンソースソフトウェア、そしてサイバースペース(インターネットの仮想空間)の他の技術の開発・保守におけるボランティアの有益な役割に言及しました。これに加えて、サミットでは世界の貧困支援のためにボランティアたちがインターネット技術を活用しているさまざまな方法が賞賛されました。この種の証言の雰囲気を味わうには、国連ボランティア計画事務局長Adde Raadの講演"Volunteer−The First and Last Mile of Connectivity"(ボランティア−地球上のあらゆるものをネットワークで結ぶ)を読んでください。
http://www.unv.org/infobase/speeches/2003/adr_wsis.htm

私はWSISで受けた印象についていまだに熟考しているところです。そこで私の考えを述べ、さらなる議論を展開していくために今月のホット・トピックスで取り上げることにします。

考察1:インターネットの力を知れば、支援を必要としている人々は熱心に使うようになる。

どの様な人びとの集まりでもいいので、あるグループを例にとってみましょう。インターネットが世界を身近なものにできることをデモンストレーションします。インターネットに接続したコンピュータを彼らが利用できるようにし、そしてどのようなことが起こるのか観察してみましょう。シニアセンターのラボであれ、公立図書館のインターネット室の回線であれ、サイバースペースは使えば魅力がわかります。インターネットを全ての人々が使えるようにするために苦労して資金を集めたとして、オンライン・ショッピング、アダルトサイトへの匿名でのアクセス、あるいはコンピュータゲームが、それに値するのかどうかと異を唱える人もいるでしょう。しかし、私たちはもっと肯定的な事実に注目すべきでしょう。

WSISでは、すばらしい会場に数百のブースが出展されていました。その巨大な会場は世界をインターネットで結ぶことに向けて努力している組織の世界のウィンドウ(窓)となりました。多くの国、とりわけアフリカや環太平洋からの代表者たちは、彼らが情報社会に参画している状況を誇らしげにデモンストレ-ションしていました。公共のインターネットセンター、無料のコンピュータクラス、遠隔治療プロジェクト、あらゆるタイプの技術支援、オンライン大学、そしてインターネットによる地方自治体の福祉が説明されました。

実は、ティンブクトゥ(マリ共和国)の市長であるMohammed Cisse氏が、ボランティアとICTについての2日間のプレ会議イベントに参加し、ティンブクトゥ市の公式インターネットサイトwww.tombouctou.net (フランス語)の開始をうれしそうに報告しました。彼の「市長のオンラインオフィス」は、市庁とティンブクトゥコミュニティテレセンターが協働して、ボランティアたちが設計した国連ボランティア計画の電子政府パイロットプロジェクトなのです。

FarmNet(ファームネット)、あるいは農業従事者情報ネットワークは(農事調査機関のような中間支援組織の援助をあおぎながら)、生活向上のための知識や情報の発信・収集・交換を促すために、インターネットや従来のマスメディアを通じて、農業地域の人々を結んでいます。プロジェクトは、全ウガンダ農業団体や、中国、インド、インドネシア、ネパール、フィリピン、スリランカ、タイ、そしてベトナムの農民連合であるFARMnet Asia(ファームネットアジア) (http://farmnetasia.nic.in/about.htm)などのように多種多様なグループとともに展開されています。

アルメニアの青年組織間のネットワーク(http://www.youth.am/)は、アルメニア全土の若者たちを教育し繋ぐためにインターネットを活用しています。環境問題に関しては特別な配慮がされています。

いま述べたのは、ほんの3つの例にしかすぎません。国連ボランティア計画(UNV)は、開発途上国に情報通信技術(ICT)を提供する任務を与えられたフルタイムのボランティアたちを現場に送ると確約しています。"Volunteerism: UNV and Beyond"(「ボランティアリズム:国連ボランティア計画と発展」)を参照ください。 http://www.unvolunteers.org/volunteers/volunteerism/index.htm

考察#2:技術が莫大なる利益を目指す一方、「持たざるもの」へソフトウェアとハードウェアを入手しやすくしようとする反対の動きがある。

コンピュータ、ソフトウェア、そしてインターネット接続は、すべて収益性の高いビジネスで、市場が支払えるだけの収益を得ようとし、その市場にあまり多くを望めないとなると、他のところに向かうことになります。しかし、私たちにとって朗報なのは、サイバースペースで商用の製品開発と並行で、フリーソフトあるいは「オープン・ソース・ムーブメント」を通じて新しい技術を追求し続けてきた使命感を持った個人たち(ボランティアたち)により、初期のころからインターネットが開発されてきたことです。 WindowsあるいはMacのシステムを利用するにはかなりの金額がかかりますが、Linux(リナックスhttp://www.linux.orgを参照ください)を使うのであれば無料です。同様に、もしソースコードが標準化され共有されるのであれば、画期的なソフトが開発され、それを利用することができる人なら誰にでも配布されることになるでしょう。オープン・ソース・ムーブメントは、自らをInformaticiens sans frontieres(国境なきプログラマー)と呼ぶ個人たちによって勝ち取られてきました。

これに加えて、電子通信を誰でもが利用できるようにと提唱している人々は、しばしば「デジタル・デバイド」と呼ばれる格差を埋め合わせることで「持てるもの」が「持たざるもの」に便宜を図る必要があると強調する目的を達してきました。携帯電話の急増(時には、有線電話設備の設立の時期を経ないで)、コンピュータ機器の絶え間ない小型化、携帯化(反面、容量は増大している)、インターネット上でかつては想像さえできなかった情報源にアクセスできるようになったこと、こういったことすべてが、サイバースペースを進展させています。開発途上国でさえ、すでに多くのフリーメールのプロバイダーが存在し、公共のコンピュータが設置されている場所は増え続けています。これらの躍進がボランティアの活動機会を提供しています。

考察#3:ハードウェアの獲得よりも、リテラシー(読み書きの能力)や言語障壁はより大変な問題である。

今のところ読み書きがよく出来ない人が、コンピュータを使うことはほぼ不可能でしょう。
さらに、世界の最貧国の多くでは、近い将来翻訳される見込みのない言語が話されています。よってリテラシーに重点が置かれているすべてのボランティア活動は、インターネットに接続したいという要望を踏まえて、新たな緊急性を担っています。その他にも、写真、音楽、その他言葉を用いない双方向性のあるやりとりを、ボランティアたちは考えています。高速で鮮明な動画映像伝送が可能になれば、このような地域では大いに役に立つでしょう。

考察4:創造性は無限で、取り組むことは多くある。

デジタル・デバイドの格差を埋めるうえでボランティアたちが影響を及ぼしている何百というプロジェクトが進行中です。すでに言及したもの以外にも、一部ですが下記に挙げたものを見てください。

  • 古い校舎でコンピュータをインターネットに接続・設置する活動
  • あらゆる場所でコンピュータやインターネットの使い方を教える教室、あるいは、一対一の個人指導。そして、高齢者、読解力の低い人、視覚障害者など様々な人を対象にしたもの。
  • 無線のインターネット接続の試験的試み
  • 中古で寄贈されたコンピュータを修理調整し、配布するプロジェクト
  • オンライン上のプライバシーと知的財産権保護の国際基準を保証するなど様々な課題に関する研究と提言をする専門委員会
  • 人々が知識を得たり、共有することを促進するための、考えられるかぎりのあらゆるトピックスに関するウェブサイトの設立

このようなタイプのボランティア活動は、フォーマルなプログラムや公共機関を通じて生まれたり、個々人の活動から生まれたりします。開発途上国への支援において、ネットワーク上のボランティア活動の時代が来ています。顕著なのは:

  • 世界のどこにいる人でも参画できるプロジェクト計画
  • E-メールによる一対一の相談と技術的支援(専門的課題)
  • E-メールによる一対一の指導とサポート(人間関係)
  • セルフヘルプのグループへのインターネットによる参加

これに加えて、社会貢献の信念にもとづいて活動する人々が、人々に訴える・ロビーイング・直接的行動あるいはその他の政治的活動に、10年前には想像もできなかった(また、費用的にも困難だった)方法で参加することをインターネットが可能にしています。{WSISのイベントのために私が書いたエッセイ"Online Power for Volunteer Action"(ボランティア活動にとってのインターネットの力)を参照ください。(http://www.worldwidevolunteer.org/en/library/documents_show_text.cfm?document_id=979 for more details on this phenomenon) 

支援を必要としている人々のためのオンライン上のサービスには信じられないほどすばらしいものがあります。例えば、NetAid (http://www.netaid.org), UNITeS (http://www.unites.org), NetCorps-Cyberjeunes (http://www.netcorps-cyberjeunes.org), and OneWorld Network (http://www.oneworld.net/article/frontpage/265/3909).などです。

考察5:もう止めることはできない。

長い目で見ると、インターネットの強力な可能性は個々人をつなぐことです。共通の課題さえあれば共に取り組め、物理的な距離も越える事が出来ます。勿論、言語やリテラシーは難しい障壁です。しかし、Eメールによってあらゆる政治的、法的な境界を越えて、人々はつながります。知識のある人たちが、ない人たちを支援したいと思っている限り、進展はあるでしょう。このことは、すべての方面において新しいフロンティアとなり、ボランティアはその中心にいるわけです。

たぶん、6つ目の考察を書いておくべきでしょう。すなわち、「第一世界」にいる私たちはもはやインターネット技術に無関心ではいられないということです。

私たちの仲間でインターネットをあくまで蔑視し続けている人が、いまだにいることに驚いています。インターネットというものは裕福な人々あるいは若者たちにのみ役に立つものであり、従来のコミュニケーションの方法こそ彼らが接している人々のニーズに最も適しているのだからと反論して、デジタル・デバイドを言い訳にしている人たちもいます。このようなことは、視野が狭く、あらゆる分野で仕事をしているボランティアによって実証されている技術上の利益を看過しています。WSISで立証されたことがあるとするならば、それは、ボランティアプログラムマネジャーがいる・いないにかかわらず、ボランティアはインターネットの構築と活用にかかわり続けるということでしょう。そうすることで、すべての人が情報社会の恩恵に浴することが保障されるのです。

今後の動き

WSISの政府総会では2つの宣言をしました:基本宣言と行動計画です。 (http://www.itu.int/dms_pub/itu-s/md/03/wsis/doc/S03-WSIS-DOC-0005!!MSW-E.doc). 行動計画には次の声明が含まれています(C4.11.O.)。ボランティア活動が、国家政策と地域文化と調和して実施されるのであれば、ICTツールの有意義な使用を可能にし、より包括的な情報社会を築き上げる人類の能力を向上する貴重な力となることでしょう。特に開発途上諸国においては、発展のためのICTに関するキャパシティビルディングを提供するためのボランティアプログラムは盛んになるでしょう。

2004年5月まで誰でも意見を述べたり、提案することができます。そして、2005年にはチュニスでフォローアップサミットが開催されることになっています。2003年12月12日のWSISの政府総会で提出されたボランティア行動計画の全文を http://www.worldwidevolunteer.org/en/library/documents_show_text.cfm?document_id=984で読むことができます。あなたご自身の考えを投稿するとか、チュニス会議での議論に参加することも考えてください。

*****

ボランティアコミュニティと技術に関する皆さんの考えをぜひともお聞かせください:

  • あなたのいる環境では、支援を必要としている人々やこれまでインターネットへのアクセスが出来なかった人々がインターネットへの接続が出来るようにするため、ボランティアたちはどのようなことをしていますか?

  • 開発途上国の人に技術支援をするインターネットによるボランティア活動をしたことがありますか?この種のオンライン(インターネットを活用した)活動に興味のあるボランティアプログラムマネジャーと、オンラインボランティア活動を希望している人たちを、どのように私たちは、つないでいけばいいのでしょうか?

  • 「思いもよらない」人々によるインターネットの活用には、他にどのような例がありますか?

 

原文はhttp://www.energizeinc.com/hot/2004/04jan.htmlをご覧ください