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日本において「ボランティアコーディネーター」の必要性が指摘されはじめたのは、1970年代中頃からである。当時、ボランティアの主な活動場所は施設や病院であった。その頃は施設職員から十分な理解が得られないことも多く、また、ボランティア自身も研修やトレーニングの機会がなかったことから有効な活動に至らない場合も多々あった。そこで、施設や病院内でのボランティアコーディネーターの配置が求められたのである。
1976年に、大阪ボランティア協会において日本で初めての「コーディネーター養成講座」が開かれた。さらに1979年には同協会より『ボランティア・コーディネーターの手引き−専門ワーカーの役割』(絶版)が出版されている。これらの主な内容は、「施設ボランティアコーディネーター」についてであった。このように、ボランティアコーディネーターの歴史からいうと、ボランティアセンターのコーディネーターより、施設におけるコーディネーターの方が、実は早くから課題が提起され、配置の必要性が指摘されていたのである。
にもかかわらず、施設におけるボランティアコーディネーターの明確な位置づけや業務の確立は、残念ながら遅々として進まなかった。1980年代に入ると、「地域福祉」や「在宅福祉」の概念が注目され、ボランティア活動もそれまでの“施設訪問”中心から友愛訪問や給食サービス等の“地域活動”へと移行しはじめた。さらに1985年の厚生少によるボラントピア事業により、各地の社会福祉協議会にボランティアセンターが急速に設置されたことにより、ボランティアセンターのコーディネーターの課題が一挙にクローズアップされるようになっていった。それからしばらくの間は、施設ボランティアコーディネーターの課題は少し置き去りにされていたように思う。
しかし、1990年代の半ばから、改めて施設ボランティアコーディネーターへの関心が高まってきた。というのは、社会福祉の分野に限っても、70年代に比べると、施設の種類やサービスも飛躍的に増え、施設利用者の多様になった。さらに、生涯学習の考え方の広がりから、社会教育施設で新たにボランティアを受け入れるところが急増した。また古くからボランティアを受け入れている施設でも、単に登録を受け付けるだけだったり、新しいボランティアプログラムが開発されていないところが多かったため、その反省から「ボランティアコーディネート」という発想が注目されはじめたのである。
そこで本書は、社会福祉施設および社会教育施設におけるボランティアコーディネーターの役割と仕事内容について、より実践的にまとめたいとの思いから企画されるに至った。実践的といっても、単なる事例の寄せ集めではなく、何か共通する理念と方法を提起したいというのが本書のねらいである。
そのため、ボランティア受け入れシステムではわが国より先んじている欧米の資料も大いに参考にさせてもらった。本書の作成プロセスでは、欧米で受け入れ施設の場合によく使われる「ボランティアマネジメント」という用語の使用も検討したが、日本では「ボランティアコーディネート」がようやく定着してきたところであるから、新たな混乱を避けるため「ボランティアコーディネーター」の用語で統一することにした。
一方で、日本の現実と合致するように、執筆者には現役のボランティアコーディネーターに参加してもらい、いくつかの施設にはヒアリング調査にご協力をいただいた。
完成までに時間が要してしまったが、施設でボランティア担当をされている職員の方々をはじめ、施設におけるボランティアコーディネーター職の確立とそのレベルアップに心をくだいておられる方々の参考になれば幸いである。
本書の出版に当たっては、大阪ボランティア協会の飯田真友美さんに大変お世話になった。また、いろいろな面でご教示いただいた施設やボランティアセンターの方々に、この場を借りてお礼を申し上げたい。
1998年9月 筒井のり子
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