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毎年が一年生
秋になるのを待ちかねて種まきをした小松菜、菜の花、べんり菜などがようやく芽を出し、双葉になったとたんに虫害で全滅してしまいました。大変なショックです。
肩を落として「やっぱり素人の悲しさですわ。農業は難しいなあ」とぼやいていると、師匠(隣で畑作をしている農家のおじさん)が、「それはしょうがないで。去年と同じようにしていても、うまいこといかんことは私らでもしょっちゅうや」と慰められました。
そして、「おてんとう様を相手に仕事をしていたら、毎年が一年生や。何年やっても同じことは一遍もあらへんで」と諭されたのです。ちょっと分かりかけてきた菜園作り五年生の、油断と慢心への大きな教訓の言葉になりました。
この言葉に励まされてもう一度畑を整備し、蒔きなおした種からようやく新しく芽が出始めました。何度見ても新たな命が誕生してくる姿には感動があり、自然の持っている大きな力を強く感じます。「今度こそ」の意気込みで、細心の注意を払って世話をしていますが、うまく育つかどうかは神のみぞ知るという心境です。
それにしても、「毎年が一年生」は味わい深い言葉ですね。私は長年営業の仕事をやっておりましたが、人間相手のこの仕事も、同じように「毎回が一年生」の気持ちが大切なのです。
最初のころは、得意先を訪問するたびに大きな緊張とプレッシャーを感じ、とても相手を観察する余裕などありません。思うことの半分も伝えられず、冷たいあしらいに悔しい思いで帰ることもたびたびでした。しかし、「認められたい」とか、「信用されたい」という気持ちは強いですから、事前の準備だけはしっかりとやっておりました。
しかし、だんだんと慣れてくるにしたがって余裕がでてきます。相手の表情を読み、それに対応した受け答えもできるようになります。また、商品の知識や情報も豊かになってきます。当然、営業成績も上がって、「僕って生まれつきの営業マンかしら」などと天狗になってくるころ、大きな落とし穴が待ち受けているのです。
商談の相手を類型化し、対応が一定のパターンになる。自分の知識や情報を過信して、十分な準備ができないままに、「何とかなるさ」と商談に出掛ける。こんなときが要注意なのです。
「十人十色」ということわざの通り、人間の個性は実にさまざまです。こういうタイプの人にはこんな対応で、こちらのタイプにはこんなやり方でなどというように、イージーでパターン化された商談を繰り返していると、手痛いしっぺ返しが待ち受けています。
また、技術革新は日進月歩です。常に最新の知識と情報を身に付け、要求があれば直ちに提供できる準備をしておかないと、持っている情報は錆びついて、いつか顧客から見放されてしまうのです。
つまり、常に変化する相手の多様なニーズを的確にキャッチし、相手の個性や状態に合わせた相応をすることや、必要に応じた商品や情報の提供をすることが求められているということなのです。そして、こうした的確な対応を積み重ねることによって、顧客の信頼を勝ち取ることが営業マン最大の仕事なのです。
「多様な相手のニーズを的確にキャッチして、それに合わせた対応が求められる」、これってボランティア活動でも大切な要素の一つですね。
ボランティア活動も営業活動と同じで、大半は人間相手の仕事です。成果を上げるためには、信頼関係を築くことが重要だということはいうまでもありません。そのためには、対人関係の能力を高め、多様な相手に合わせた柔軟な対応ができること、相手のニーズにしっかりと応えられるだけの知識、技術、情報を持っていること、相手の立場を尊重することなどが求められます。
特に、重い社会的な課題を抱え、SOSを発信している人たちと、手弁当のボランティアとをつなぐコーディネーターには、こうした能力と姿勢が強く望まれていると思います。
多くのボランティアセンターでは、ボランティアコーディネーターの専門性が十分に認められているとは言い難い現状ですが、専門職としての立場がしっかりと確立し、十分な能力を持った人たちによって対応されることと、「毎年が一年生」の心構えで取り組まれることを祈りたいと思います。
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