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20世紀の最後の10年あたりから、世界は新たな変化を見せはじめたと言われる。その一つの特徴は「非営利セクター」の台頭とその重視である。政府(行政)セクターと営利(企業)セクターの二つが主導して20世紀社会を引っ張ってきたが、価値観の多様化や発生する多様な社会的課題に相応する上で、これらのセクターの限界(失敗)に人々が気付き出しはじめたからだ。この二つを補完(パートナー化)し、またそれと緊張関係にあるものとして民間非営利セクターが注目されはじめるのである。
米国のレスター・サラモン教授は、このような市民セクターの世界的な動きを「連帯革命」と呼び、市場や政府とは異なった原理と方法で、多様な市民が市民自らの手によって「公益」の実現を目指そうとするセクターだとしている。
民間非営利セクターを強化する必要性を、日本で公的に最も早く文書化したのは、1994(平成6)年の経済企画庁の『自覚と責任ある社会へ』というレポートではなかろうか。戦後の日本では、民主主義社会とは言いながら、行政主導性の強い社会が続いた。この文書は、政府と企業に比べて民間非営利セクターが弱いために、市民社会が薄っぺらであると言おうとしているのである。
社会福祉法人大阪ボランティア協会は、来年(2005年)で40周年を迎える。日本で真のボランティアは育たないとまで言われながら、創設以来、ボランタリズム=民間性の旗を掲げ、一貫してボランティア活動を「市民活動」としてとらえて運動を展開してきた。今また、民間非営利セクター重視の大きな流れに呼応して、「大阪NPOプラザ」の運営とともに「NPO推進センター」部門を設置し、NPOの推進支援活動にも力を注いでいる。
このたび、ここに『ボランティア・NPO用語事典』を協会として世に問おうとしたのは、1998(平成10)年の「特定非営利活動促進法(NPO法)」施行後に生じている市民活動をめぐる課題が背景にある。NPOと行政・企業とのパートナー関係、あるいはボランティアとNPOとの新しい関係等を問い、併せてこれらに共通する思想的・原理的・概念的な再構築、再理論化を目指した。このことによって、次の10年、20年への展望を開き、市民社会の創造、ボランタリーな運動のエネルギーになればとの思いからである。全体として、前編を「主要コンセプト編」、後編を「用語編」としているが、特に前編でそれらのことを強調したつもりである。
この企画は当初、2年前に急逝された大阪ボランティア協会の元常務理事の巡静一氏の発案によってはじめられた。巡氏の遺志を引き継ぐかたちで編纂を進めたこともあり、また各人多忙ななかでの作業で、時間的なずれが生じるなどしたが、いずれにしても協会が総力を挙げて取り組んだ成果である。執筆は、主として協会に連なるボランティア活動やNPO関係者、職員ならびに学識経験者等で分担執筆した。また、個別領域にかかわる点などにおいても、様々な関係者の協力を得た。多くの協力者、執筆者に感謝したい。
読者には、できるだけ読みやすく、また引用しやすいように「主要コンセプト編」の見開き構成、参照マークなどの工夫をし、「用語編」では「主要コンセプト編」で網羅しきれなかった用語なども補足し、本全体としてボランティア・NPOに関する語句を包括的にカバーすることを試みた。
しかしながら、文章表現も含め、レイアウトなどに不備な点があるかもしれない。皆様の忌憚のない御指摘をお願いし、さらによりよいものを目指したい。
最後になったが、中央法規出版株式会社の寛容なご配慮とともに、特に企画部の有賀剛氏には、企画の段階から出版に至るまで一貫して大変お世話になった。また、編集部の土屋正太郎氏にも一方ならぬご尽力をいただいた。改めて両氏の忍耐強い支えと助言に感謝したい。
2004年3月
編集代表
大阪ボランティア協会理事長
流通科学大学教授
岡本 榮一
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